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事業再構築補助金の公募が始まりました!が・・・

21.04.02 | 速報

最大1億円まで「思い切った事業再構築」に使える、という触れ込みで、今年度最大の目玉補助金「事業再構築補助金」の公募が始まりました。
これまでに歯科医院からのお問い合わせも何件か受けています。
さて、いよいよそのふたが開いたわけですが・・・

きわめてハードルが高い!

この事業再構築補助金、予算情報の段階では、
①1兆1485億円の予算規模
②55,000件の採択予定件数
③単純に割り算すると、①÷②=2088万円/件
ということで、相当の大盤振る舞いではないかと予想されていました。

3月31日にものづくり補助金の5次受付締切分の採択結果が発表されましたが、
1次~5次まで、2020年度1年間で採択された件数の総計が12,756件でした。
応募総数は延べ30,111件です(採択率は4割ほどとなります)。

②の55,000件というのは、ものづくり補助金の採択件数でいえば4年分以上、応募総数でいえば、ものづくり補助金への応募を全数採択してもなお、約25,000件の枠が余る、というくらいの規模です。

ところが、3月17日に公表された事業再構築指針を読むと、とてもそんなに多数の応募ができるようなしろものではない、ということがわかりました。

わかりやすくいえば、
・売ったことのないもの(商品・サービス)を、
・売ったことのない相手に売り、
・その売上が3-5年で既存売上の10%以上、あるいは、一番の稼ぎ頭の事業にする、
ことが求められています。

新規事業において、もっともハイリスクで失敗確率が高いのが、商品・サービスも新規、市場・顧客も新規というパターンです。
しかし、まさにそれでハイリターンを得る計画を立て申請しなければなりません。

テクニカルには、そのような事業計画を立案すること自体はもちろん可能ですが、新規性と実現性は通常、相反します。
新規性が高ければ高いほど実現性は低く、逆に、実現性が高いということは新規性の低いことの反映である可能性が高いわけです。

歯科医院での活用は?

歯科医院の場合、まず、申請できるのは個人クリニックに限られます。
これは多くの経済産業省補助金と同様、補助対象事業者を「会社と個人」に限定しているためです。

次に、売上要件ですが、以下の条件に合致する必要があります。

  • 申請前の直近6か月間のうち、任意の3か月の合計売上高が、コロナ以前(2019年又は2020年1~3月)の同3か月の合計売上高と比較して10%以上減少している。

第1回申請の締切が4月30日なので、2020年10月~2021年3月の6ヶ月のうち、たとえば11月・1月・2月の売上を合計し、1年前または2年前の同じ3ヶ月の合計売上と比較し、10%以上減少していれば申請可能、そうでなければそもそも申請できません。
公募は4回予定しているので、先の回で申請できる可能性はあります。

内容的には、前述の売ったことがないものを売ったことがない相手にする新規事業ということですが、具体的には、事業再構築指針に定める次の5つの類型のどれかに該当する必要があります。

①新分野展開:
中小企業等が主たる業種(売上高構成比率の最も高い事業が属する、総務省が定める日本標準産業分類に基づく大分類の産業をいう。以下同じ。)又は主たる事業(売上高構成比率の最も高い事業が属する、総務省が定める日本標準産業分類に基づく中分類以下の産業をいう。以下同じ。)を変更することなく、新たな製品を製造し又は新たな商品若しくはサービスを提供することにより、新たな市場に進出することをいう。

②事業転換:
中小企業等が新たな製品を製造し又は新たな商品若しくはサービスを提供することにより、主たる業種を変更することなく、主たる事業を変更することをいう。

③業種転換:
中小企業等が新たな製品を製造し又は新たな商品若しくはサービスを提供することにより、主たる業種を変更することをいう。

④業態転換:
製品又は商品若しくはサービスの製造方法又は提供方法を相当程度変更することをいう。

⑤事業再編:
会社法上の組織再編行為(合併、会社分割、株式交換、株式移転、事業譲渡)等を行い、新たな事業形態のもとに、新分野展開、事業転換、業種転換又は業態転換のいずれかを行うことをいう。

歯科医院の場合で考えると、たとえば以下のようなイメージです(あくまで考え方の例示であって、採択される・されないとは関係ありません)。

①新分野進出:
歯科医院という事業そのものは変えずに、新しい診療メニューを追加する。
※たとえば、一般歯科+矯正歯科、一般歯科+ホワイトニングなど?
日本標準産業分類
大分類P:医療、福祉
中分類83:医療業
小分類833:歯科診療所
細分類8331:歯科診療所

②事業転換:
医療、福祉の範囲で、歯科医院ではない別の事業を主たる事業にする。
※たとえば、細分類8361歯科技工所や8544訪問介護事業など?
日本標準産業分類
大分類P:医療、福祉
中分類83:医療業
小分類833:歯科診療所
細分類8331:歯科診療所

③業種転換:
医療、福祉以外の事業を主たる事業にする。
※これは、医療福祉以外であればなんでもアリといえばなんでもアリですが・・・

④業態転換:
歯科医院という事業そのものは変えずに、診療形態を大きく変える
※たとえば、オンライン診療や訪問診療?

⑤事業再編:
※たとえば専門性の異なる他の歯科医院を買い取って①を実現する
※たとえば介護事業を買い取って②を実現する

申請を考えるなら・・・

上記は基本的な要件ですが、そのほかにこまごまとした条件が多数あります。
審査項目も多数あり、事業計画づくりに必要な作業ボリュームは、ものづくり補助金の2-3倍ではないかと思われます。
認定支援機関、金融機関との共同作業も必要です。
それだけ準備期間も必要です。

新しい補助金であり、審査の基準や「相場観」は未確立であるため、第1回締切で「駄目もと」で出してみるという考え方もありますが、
相当入念な準備作業が必要となるため、申請するとしても、第2回以降が現実的ではないかと思われます。

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