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SNSへの投稿で懲役刑も!? ネット上の『誹謗中傷』による罪名と実刑
21.04.27 | ビジネス【法律豆知識】
近年、SNSなどを通じたネットの誹謗中傷が社会問題化しています。
誰でも気軽に情報発信ができるようになった一方で、ネットリテラシーの低さから、バッシングやヘイトスピーチなどが発生しやすくなっているのです。
タレントやスポーツ選手、政治家などの著名人のほかに、一般人や会社組織などが誹謗中傷を受けることもあり、なかには刑事事件に発展し、逮捕者が出たり損害賠償が認められたりした事例もあります。
今回は、誹謗中傷で逮捕された際の罪名や刑事罰などについて解説します。
社会問題化しているネット上での誹謗中傷
インターネットとSNSが普及した現在では、多くの人が、不特定多数に対して情報発信をできるようになり、ネット上でのコミュニケーションを日常的に楽しんでいます。
一方で、匿名性の高いSNSでは、顔が見えないのをよいことに、他人のアカウントを攻撃したり袋叩きにしたりする行為が絶えません。
ネット上での誹謗中傷は大きな社会問題となっており、損害賠償を求める裁判も多数起きています。
現在、政府はネット上の誹謗中傷対策に積極的に取り組んでおり、2021年2月には『プロバイダ責任制限法』の改正案を閣議決定しました。
改正案が国会で成立すれば、投稿者特定のために必要とされていた裁判手続きが簡略化されます。
これまでは、訴訟を経なければ投稿者の個人情報を取得できませんでしたが、訴訟を経なくても、被害者の申し立てを受けた裁判所が、投稿者の情報開示をプロバイダ事業者に命じることができるようになります。
これにより被害者の負担が軽減され、誹謗中傷した相手をより速やかに特定できるようになるでしょう。
誹謗中傷をすると、どのような罪に問われる?
また、国は、悪質な誹謗中傷を刑事事件の捜査対象として取り締まっています。
誹謗中傷の罪状としては、主に以下のものがあげられます。
●脅迫罪
たとえば、ネット上に相手を指定して殺害予告を書き込んだり、「○○の秘密をバラす」などと投稿したりした場合には、脅迫罪が成立する可能性があります。
脅迫罪は、個人の生命や身体、財産や名誉などに対して『害を加える旨を告知』した場合に適用され、2年以下の懲役または30万円以下の罰金が科せられます。
●威力業務妨害罪
前述した脅迫罪は、あくまで個人を被害対象にしたもので、会社などの法人は対象に含まれません。
たとえば「○○社を爆破する」などと書き込んだ場合には、会社を被害者とする形での脅迫罪は成立しません。
しかし、それが公然と力を誇示して業務に支障を生じさせるおそれがあるような場合には、威力業務妨害罪が適用される可能性があります。
威力業務妨害罪では、3年以下の懲役または50万円以下の罰金が科せられます。
●名誉棄損罪
「○○にパワハラされた」「○○は横領している」「○○の浮気現場を見た」などの書き込みは、事実に基づいていたとしても、名誉毀損罪にあたる可能性があります。
名誉毀損罪は、不特定多数に対して、具体的な事柄を提示しながら、特定の誰かの社会的名誉を傷つけた場合に適用されます。
名誉毀損罪では、3年以下の懲役もしくは禁錮、または50万円以下の罰金が科せられます。
ただし、メディアが政治家や芸能人のスキャンダルを報道するようなケースでは、『公共の利害に関する事実』であり、『公益を図る目的』があることに加え、『真実であることの証明』ができる場合には、表現の自由として保護されますので、名誉毀損罪にはあたりません。
●侮辱罪
「バカ」や「マヌケ」など、具体的な事柄ではなくても、公然と人を侮辱した場合には侮辱罪が成立することがあります。
ほかにも「死ね」や「消えろ」などの悪口や、「デブ」「ハゲ」などの身体的特徴を指摘するものも同様です。
侮辱罪では、1日以上30日未満の拘留か、1,000円以上1万円未満の科料に処されます。
誹謗中傷をネット上に投稿すると、その痕跡がいつまでも残ってしまいますし、個人の特定も容易になりつつあります。
自分の書き込みが刑事事件に発展し、有罪となると、犯罪歴がついてしまいます。
意図的な誹謗中傷はもちろんですが、特に意図していなかった場合も、相手方の受け取り方などによっては誹謗中傷に該当してしまうこともあるため、発言には注意を払わなければいけません。
匿名・実名を問わず、また、公私を問わず、SNSの投稿にはリスクが潜んでいることをしっかりと理解し、利用していきましょう。
※本記事の記載内容は、2021年4月現在の法令・情報等に基づいています。
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