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「改正会社法~監査役の監査範囲限定登記」 ~監査役の監査範囲限定登記が必要となります!~

14.11.18 | 【会計】

平成27年施行予定の改正会社法において、監査役の監査範囲を会計に関するものに限定している株式会社は、その旨の登記が義務付けられることになります。
この際、通常の役員変更登記とは別途3万円の登録免許税負担が生じることが懸念されています。

◆はじめに 

 平成27年施行予定の改正会社法において、監査役の監査範囲を会計に関するものに限定している株式会社は、その旨の登記が義務付けられることになります。
 この際、通常の役員変更登記とは別途3万円の登録免許税負担が生じることが懸念されています。
 中小企業1,677,949社(中小企業庁「中小企業白書(2014年版)付属統計資料」)の多数が、現在でも監査範囲の限定をしており、当該登記を義務付けられるものとみられるため、それら中小企業にとっては負担が増すこととなります。

◆登記上も監査役設置会社が区別可能に

 会社法では、一定の場合、定款に定めることで「監査役の監査の範囲」を会計に関するものに限定できます。この場合その会社は、法律上は「監査役設置会社」に該当しませんが、登記上は監査役設置会社と同様の登記事項であるため区別されていません。
 この点、監査役設置会社に該当するか否かで(登記上は同じでも)会社法上の規律が異なるケース(代表訴訟を請求された場合に会社の代表者が異なる等)があります。
 この場合、現行制度では監査役の監査の範囲が会計監査に限定されているかどうかは登記簿だけでは判明せず、定款を確認する必要がありました。
 しかし、今回の改正によって登記簿を確認するだけで監査役の監査の範囲が判明することとなりました。
 
◆経過措置で最長10年間は登記を猶予

 この登記の際には、通常の役員変更の登記に関する登録免許税以外に、別途3万円の登録免許税の納付が必要となることが見込まれています。
 監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨の定款の定めがある株式会社は中小企業が多いため、これらの企業の負担は増すことになります。
 このため、会社法改正案では経過措置を設けており、改正会社法が施行後、最初に監査役が就任、または退任するまでの間は登記をせず、現行どおりの取り扱いが容認されています。
 したがって、非公開会社の場合は定款によって任期を最長10年に伸長できるため、最長約10年間は登記が猶予されることになります。
 
◆旧商法特例法上の小会社も対象となります

 会社法施行前の旧商法特例法上の小会社(資本金1億円以下かつ負債総額200億円未満)については、会社法施行時に、定款に監査の範囲を会計に限定する旨の定めがあるものとみなされました。
 これらの会社については定款変更も登記も不要であったことから、現在に至るまで定款変更等を行わず、そのままになっているケースが多いようです。
 このような会社も監査役の監査範囲を会計に関するものに限定している株式会社に該当し、登記が必要となりますのでご留意ください。

キリサワ税理士法人 情報発信委員会

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