中谷彰吾税理士事務所

世界の穀物価格の上昇の背景④

14.11.27 | 農業関係

2006年以降7年以上にもわたって上昇し続けている穀物価格。
その背景と日本への影響などを連載形式でお届けするこのシリーズ。

第4回は「エタノール生産拡大後の動き」です。

2012年7月ごろ、アメリカの10州の知事が、再生燃料使用義務量を1年間中止にすることを環境保護庁に要請しました。
この10州はいずれも、飼料価格の高騰で強い打撃を受けている養豚・養鶏などが盛んな畜産州です。
しかし、環境保護庁はこの要請を却下しました。
理由は「再生燃料使用義務量はエタノール生産に何の影響も持っていない。ゆえにトウモロコシ・食品価格にも何の影響もない」というものでした。ただ、ここでは2013年の1年間のみ義務量を停止した場合の変化しか検討されていません。トウモロコシの需給の構造変化が全く考慮されていないものでした。

2013年4月、アメリカの畜産7団体が、環境保護庁の却下論拠を批判。再生燃料使用義務量を廃止すべき、と1年間の停止要請よりさらに突っ込んだ提案をしております。
再生燃料使用義務量は、アメリカのトウモロコシ生産量の4割をエタノール生産に振り向けることを強制するものです。本来、食料・飼料用であるトウモロコシの4割をアメリカの自給のために、エタノール生産に用いることを義務化することは、穀物の食料需給のあり方を著しくゆがめるものです。
今後のアメリカ議会における検討・対処の動きに注視していきたいです。

次回以降は各国への影響についてお話しいたします。

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