中谷彰吾税理士事務所

世界の穀物価格の上昇の背景⑤

14.12.05 | 農業関係

2006年以降7年にもわたって上昇し続けた穀物価格。
その背景と各国への影響について連載方式でお届けするこのシリーズ。

第5回は「各国への影響~アメリカ、欧州編~」です。

アメリカの国内穀物価格は国際価格と連動してます。
長期の価格上昇により、アメリカの農業所得は大幅に上昇しました。
1990年代の平均は461億ドルでしたが、2007年~2011年の平均は827億ドルになり、2012・2013年の平均は1160億ドルにも達しました。消費者物価指数でデフレイトした実質農業所得でも、それぞれ574億ドル、773億ドルとなり、90年代に比べ農業所得が大幅に増大しました。
この高価格の下、不足払い型政策の発動は必要がなくなり、政策の軸が不足払い型から作物保険に移り、作物保険を基礎とする収入保障が次期農業法の中軸になろうとしています。

欧州では輸入価格がEU域内小麦価格よりも高い状況が続いています。
こうした状況では、域内価格を保護する関税の役割は相対化し、欧州にとって関税を維持することが絶対条件ではなくなってきている。このようなところにEUがアメリカとの間のFTA交渉に積極的な理由があります。
農業所得も上昇傾向で、2000年に対し、2007~2010年平均で名目で43%、実質で15%上回っています。EUの農業所得は直接支払いに加え価格上昇のメリットを受けている状況です。

アメリカ、欧州の農業所得に関しては上昇というメリットがあるようですが、日本はどうなんでしょうか…
次回最終回は「日本への影響」について書かせていただきます。


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