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【補助金を受け取ったら要チェック】圧縮記帳の対象や会計処理方法について分かりやすく解説します!

22.08.23 | 事務所通信

こんにちは、マクシブ総合会計事務所です。

今回は補助金や保険金収入などを受け取った際に使用できる「圧縮記帳」について説明していきます。
圧縮記帳とは、課税所得の発生を将来に先送りすることにより課税を繰り延べるための制度です。

これを活用しないとせっかくの補助金などに税金が課されてしまい、その効果が目減りしてしまう場合もあります。

今回の記事で、法人における圧縮記帳の内容を確認し、補助金などをより上手く活用できるようにしましょう。

圧縮記帳とは?

圧縮記帳とは、課税を将来に繰り延べるための税法上の制度であり、
具体的には、国から補助金を受け取って固定資産を購入した際に、補助金のうち一定額を取得した固定資産の取得原価から控除等する会計処理を言います。

例えば、補助金の給付を受けて固定資産を購入した場合、補助金の全額を利益として計上し、
当該資産の取得原価は耐用年数に渡って減価償却により費用化するのが原則的な処理となります。

しかし、これでは補助金の給付を受けた年度の補助金収入が減価償却費を大きく上回り、結果として多額の税金が発生することになりかねません。
こうなってしまうと補助金の一部を納税資金として確保しておく必要が生じ、補助金の効果が減殺されてしまいます。

このような事態を避けるために生まれた制度が圧縮記帳です。
圧縮記帳を行うと「固定資産圧縮損」といった費用を発生させて補助金などの利益と相殺し納税額を抑えることができます。

ただし、これはあくまで課税の繰り延べであり、「固定資産圧縮損」の額だけ将来の減価償却費が減少しますので、長期的に見れば納税額は変わりません。

圧縮記帳の目的と対象になるものは?



圧縮記帳は自由に使用できるわけではなく、税法で定められた条件でのみ適用できます。

代表例として、国や地方自治体から受け取る補助金によって固定資産を取得した場合や、
災害などによって保険金を受け取った際に固定資産の買い替えをした場合
が挙げられます。

補助金であれば納税額としてすぐに国庫に戻っては補助をした意味が無いですし、保険金であれば納税してしまっては災害などからの立ち直りが遅れてしまうため、
圧縮記帳が認められています。

このように補助金等の支給が本来の趣旨から逸脱することの無いように税制面での配慮をすることが圧縮記帳の目的です。

圧縮記帳の要件について

圧縮記帳を行うには経理処理や税務上で定められた要件があり、具体的には以下の内容となります。

①圧縮記帳:経理処理について

圧縮記帳には損金算入の限度額があり、この限度額を超えて設定することはできません。
法律により定められた圧縮限度額の範囲内で、以下のいずれかの経理処理をする必要があります。

①損金経理により「圧縮損」を用いて資産の帳簿価額を直接減額する方法
②損金経理により「積立損」を用いて「積立金」として積み立てる方法
③剰余金の処分により「積立金」として積み立てる方法

ちなみに、①の処理方法が一番シンプルでわかりやすいので、他の処理方法を取らなければならない理由が無ければこちらをおすすめします。

具体的な仕訳は以下の通りです。

【条件】
・会計期間:4月1日~3月31日
・補助金収入:120万円
・補助対象の機械装置の金額:360万円(定額法にて10年償却、購入後すぐに事業の用に供した)

【機械装置購入】

【補助金の交付】

【圧縮損の計上】

【減価償却費の計上】

※減価償却費:(3,600,000円-1,200,000円)×償却率0.100=240,000円

② 法人税申告

法人税の申告時には、申告書の別表として国庫補助金等、工事負担金及び賦課金で取得した固定資産等の圧縮額等の損金算入に関する明細書を添付する必要があります。

圧縮記帳の仕組みを理解して、補助金の効果を最大に!



補助金などは金額も大きく、何も対策をしないでいると期末に想定以上の納税が発生して経営を圧迫してしまう可能性があります。
圧縮記帳によって、より計画的な経営がしやすくなりますので制度の活用をぜひご検討ください。

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