弁護士法人青森リーガルサービス

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ニュースレター2022年11月号【GPSを使用した不倫調査のリスク】

22.11.07 | ニュースレター

当事務所では、お付き合いいただいている皆様に向けて、法律関連のニュースや当事務所の近況などを、定期的にニュースレターとしてお送りさせていただいております。
当事務所の近況やご挨拶のほか、少しでもお役に立てる情報をお届けできればと思っております。

配偶者の不倫の事実を掴むために、GPSを使用した不倫調査を検討・実行される方が散見されます。しかし、GPSを使用した不倫調査には、以下のようなリスクがありますので、慎重にご判断いただきたいと思います。

1 GPS機器を車に設置
同居中の夫婦いずれかの名義の車であれば、プライバシー権を不当に侵害するものではなく、違法とまでは言えないでしょう。しかし、別居中の配偶者が使用している車であれば、プライバシー権を不当に侵害するものとして、違法とされるでしょう。また、令和3年のストーカー規制法改正により、GPS機器を設置する行為、GPSを用いて位置情報を取得する行為が処罰の対象となったため、処罰されるリスクもあります。不倫・浮気相手が所有する車の場合にも、プライバシー権の不当な侵害およびストーカー規制法により違法であると考えられます。そして、別居中の配偶者の車または不倫・浮気相手の車にGPS機器を設置する際に、他人の私有地に違法な目的をもって立ち入る行為があれば、住居侵入罪が成立する可能性があります。なお、車を損傷させれば、器物損壊罪が成立する可能性があります。

2 GPS追跡アプリを配偶者のスマートフォンにインストール
配偶者に無断でGPS追跡アプリを配偶者のスマートフォンにインストールすれば、不正指令電磁的記録供用罪等に該当し、違法と判断されます。また、スマートフォンは、夫婦で共用することはないというのが通常ですから、同居中の夫婦の場合であっても、ストーカー規制法により違法となる可能性が高いと言えます。

3 GPS機器を配偶者の衣類・所持品に忍び込ませる
衣類や鞄・財布などの所持品は、夫婦で共有することはないというのが通常です。そのため、同居中の夫婦の場合であっても、GPS機器を配偶者の衣類・所持品に忍び込ませる行為は、ストーカー規制法により違法となる可能性が高いと言えます。また、プライバシー権を不当に侵害する行為であるとして、違法と判断されるものと考えられます。

4 GPSの位置情報の証拠価値
GPSの位置情報だけでは、本当に対象者の位置情報であるかが証明できず、誰と一緒にいたかも分からないため、単体としての証拠価値は低いと言わざるを得ないでしょう。LINE・メールのやり取り、日記・スケジュール帳の記載、ラブホテル・マンション等から出てくる場面の写真など、核となる証拠が必要となるのが通常です。上記のように、GPSを使用した不倫調査にはリスクもありますので、必ず事前に弁護士にご相談いただくことをお勧めいたします。

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