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「キャッシュフロー計算書の見方」~経営に活用してみませんか?~

15.01.20 | 【会計】

◆はじめに 
中小企業等の資金管理の現場においては、一般的に「資金繰り表」がよく利用されていると思います。
この資金繰り表とよく似たものに「キャッシュフロー計算書」があります。
いずれも、資金の動きを把握できるという点で非常によく似ています。

しかし、キャッシュフロー計算書は過去情報としての意味合いが強いのに対し、資金繰り表は将来を予測するためにも利用されています。

また、キャッシュフロー計算書は上場企業で作成が義務付けられており、様式も決まっているのに対し、資金繰り表は作成が義務付けられておらず、その様式も自由です。
そのため、中小企業等ではあまりなじみのないキャッシュフロー計算書ですが、資金繰り表の様式をキャッシュフロー計算書の様式と似たような形にすることによって、中小企業等の経営にも活かすことができるのではないかと思います。

そこで、今回はキャッシュフロー計算書の基本的な読み方について簡単にご説明したいと思います。

◆キャッシュフロー計算書の基本的な構造
キャッシュフロー計算書では、資金の動きを以下の3つの区分に分けて管理します。
(1)営業活動によるキャッシュフロー
(2)投資活動によるキャッシュフロー
(3)財務活動によるキャッシュフロー


◆3つのキャッシュフローの簡単な内容
(1)「営業活動によるキャッシュフロー」
3つのキャッシュフローの中で最も重要であり、企業の本業で得られた資金の動きを表します。(以下「営業CF」とします。)

(2)「投資活動によるキャッシュフロー」
固定資産や有価証券等の取得及び売却などの投資活動に関係する資金の動きを表します。(以下「投資CF」とします。)

(3)「財務活動によるキャッシュフロー」
資金の調達や返済などの財務活動に関する資金の動きを表します。(以下「財務CF」とします。)


◆営業CFがプラスの場合
(1)営業CFは、主に企業の本業から生じたキャッシュフローを示しているため、非常に重要であり最初に確認すべき指標です。
これがプラスの場合、企業の事業活動を維持するための支払を超える収入を本業で稼いでいることになります。
その余剰分は、事業拡大のための投資や、借入れの返済、配当の増加等の原資となるため企業の戦略の幅が広がります。
営業CFを原資として新規投資や借入返済等を行った場合、キャッシュフロー計算書上では投資CFや財務CFがマイナスとなることが想定されます。

(2)営業CFがプラスであっても、工場の新設など営業CFで賄いきれないくらいの巨額の投資による支出が生じ、銀行等からの借入を行った場合は、財務CFがプラスとなります。
投資のCFのマイナスを営業CFと財務CFで補うというイメージです。
このように、財務CFを見ることによって企業の設備投資に係る資金調達方針を確認することができます。

◆営業CFがマイナスの場合
(1)営業CFがマイナスの場合、手元資金を使うほか、追加借入等によって必要な資金を調達する必要があります。
このような場合、キャッシュフロー計算書は営業CFがマイナス、投資CFがマイナス、財務CFがプラスという構成になります。

(2)なお、成長段階にある企業の場合、営業CFが不安定な場合でも成長のための新規投資を旺盛に行っているため、営業CFや投資CFのマイナスが大きくなっているケースが多く見受けられます。
このような企業の成長性を分析するためには、損益計算書等から事業拡大状況を確認するとともに、財務CFに注目し営業CFや投資CFのマイナスをどのような形で資金調達しているかを見ることも重要です。

(3)営業CFが大幅にマイナスの場合や、大幅マイナスではなくともマイナスが続く場合、金融機関等からの資金調達が困難となる状況が想定されます。
このような場合、有価証券や不動産などの保有資産を売却することによって資金調達をする必要があります。
また、このケースでのキャッシュフロー計算書は、営業CFがマイナス、投資CFがプラス、財務CFがマイナスとなります。

◆おわりに
いわゆる黒字倒産というように、損益計算書で利益を計上していても、資金が不足した場合は経営破たんする可能性があります。

そのため、ご存知のとおり資金繰りは企業経営にとって非常に重要なものです。

これを機会にキャッシュフロー計算書の構造を理解し、営業活動、投資活動、財務活動のそれぞれのバランスを考慮するという視点を、資金繰り表にとりいれてみられてはいかがでしょうか。


キリサワ税理士法人 情報発信委員会

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