弁護士法人青森リーガルサービス

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ニュースレター2023年7月号【死亡事故における慰謝料と逸失利益】

23.07.10 | ニュースレター

当事務所では、お付き合いいただいている皆様に向けて、法律関連のニュースや当事務所の近況などを、定期的にニュースレターとしてお送りさせていただいております。
当事務所の近況やご挨拶のほか、少しでもお役に立てる情報をお届けできればと思っております。

交通事故によりご家族がお亡くなりになった場合、被害者の法定相続人等は加害者に対して損害賠償を請求することができます。死亡事故における損害賠償金のうち、大きな比重を占めるのは慰謝料と逸失利益です。以下でご説明させていただきます。

1 死亡慰謝料
慰謝料とは、死亡事故による精神的苦痛に対する損害賠償金です。①亡くなった被害者本人の慰謝料と、②遺族の慰謝料の2種類のものがあります。①亡くなった被害者本人の慰謝料は、その法定相続人に請求権が相続されることとなります。②遺族の慰謝料は、被害者の近親者には、上記①とは別個に固有の慰謝料が認められます。法律上は被害者の父母、配偶者、子が規定されています。それ以外にも、例えば内縁の夫/妻や兄弟姉妹等も、被害者との間に特別の親密な関係にある場合には、固有の慰謝料請求権が認められることがあります。裁判基準による死亡慰謝料の金額(上記①②を合わせた合計額)は、一家の支柱(被害者が一家の生計を支える立場にあった場合)で2800万円、母親・配偶者で2500万円、それ以外(独身者・子ども等)で2000万円~2500万円が標準額とされます。危険運転、飲酒運転、ひき逃げなどの悪質な事故の場合には、さらに増額される要素となります。これに対し、保険会社は1500万円前後の提示をしてくることが多いですので、保険会社の提示を鵜呑みにするのではなく、まずは弁護士にご相談いただくことをお勧めいたします。

2 死亡逸失利益
逸失利益とは、死亡事故により失われた将来の収入を賠償するものです。給与所得・事業所得に対する逸失利益はもちろん、家事従事者(主婦/主夫)の場合には家事労働に対する逸失利益も認められます。学生・幼児については就労年齢以降の分の逸失利益が認められ、失業者についても就労の能力・意思がある場合には逸失利益が認められます。年金受給者については、年金収入に対する逸失利益も認められます。逸失利益の金額は、「基礎収入(年額)×(1-生活費控除率)×就労可能年数に対するライプニッツ係数(年3%の中間利息控除のための係数)」により算出されます。基礎収入は、事故前の現実の収入額を基準とするのが原則ですが、将来的な増収の可能性も考慮されます。学生・幼児については全年齢の平均年収を用いるのが通常であり、家事従事者の場合には女子の平均年収が採用されます。生活費控除率は一家の支柱・男子・女子の区分により30%~50%とされ、年金部分については60%程度とすることが多いです。就労可能年数は原則67歳までとし、高齢者は67歳までの年数と平均余命年数の2分の1のいずれか長い方を採用します。年金部分については平均余命年数です。逸失利益についてご不明のことは弁護士にご相談ください。

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