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ハローワークで『就職氷河期世代』に限定した求人を出すメリット
23.12.22 | ビジネス【人的資源】
バブル崩壊後の雇用環境が厳しい時期に就職活動を行なった世代のことを、『就職氷河期世代』と呼びます。
具体的には、1990~2000年代に就職活動を行なった30代後半から50代前半(2024年時点)の人たちのことです。
この世代には、正規雇用労働者として就職できないまま、今も不本意な形で就労を続けている人が少なくありません。
ハローワークでは、こうした就職氷河期世代の正社員雇用を推進しており、この世代に限定した求人を開拓するなどの取り組みを実施しています。
就職氷河期世代の特徴を紐解きながら、企業がこの世代を雇用するメリットを考えます。
当時の若者が苦しんだバブル崩壊後の就職難
好景気に沸いたバブルが1991年に崩壊し、その年から1993年頃まで株価や地価が急落しました。
バブル崩壊後の日本は長期の不況に陥り、多くの企業が人件費削減のために新卒採用の枠を削減しました。
こうして、バブル崩壊後の1990~2000年代までの約10年間は就職難が続き、いわゆる『就職氷河期』が訪れたのです。
有効求人倍率は下がり続け、1999年には平均0.48倍にまで下落しました。
バブル期に超売り手市場だった採用の現場は、一転して超買い手市場となり、わずかな求人に応募者が殺到する事態が頻発しました。
この就職氷河期に就職活動を行なった世代は、正規雇用など希望する就職が叶わず、現在も非正規労働者として働く人が多くいます。
そこで現在、国の主導により就職氷河期世代の正社員雇用を推進し、活躍の場を広げていくための取り組みが行なわれているのです。
特にハローワークでは、就職氷河期世代に限定した求人や、その世代を歓迎する求人の積極的な開拓を実施しています。
2022年度に全国の事業者からハローワークに寄せられたこれらの『氷河期求人』は約23万件にもなり、そのうち約2万2,000件の就職が実現しました。
2022年度に就職氷河期世代がマッチングした職種は、多い順に、施設介護員(2,321件)、貨物自動車運転手(1,056件)、総合事務員(817件)となっています。
このように、就職氷河期世代の正社員雇用が多く実現した理由の一つに、特例措置の創設がありました。
通常、労働者の募集や採用に対して年齢制限を設けることは法令で禁止されています。
しかし、就職氷河期世代で正社員雇用の機会に恵まれなかった人を募集する場合は、特例措置が認められています。
2024年度末までは、ハローワークへの求人申込みを前提に、自社のホームページや民間の求人媒体などで、就職氷河期世代に限定した求人を出すことが可能です。
ただし、特例措置が認められる就職氷河期世代は、1968年4月2日から1988年4月1日までの間に生まれた人に限られるので、注意しましょう。
さらに、ハローワークでは就職氷河期世代を採用する事業者に向けて、雇い入れる際の留意事項の相談受付や、就職後の定着に向けた支援なども行なっています。
経験豊かな人材を即戦力として雇用できる
国が推し進める就職氷河期世代の正社員雇用は、企業にはどのようなメリットがあるのでしょうか。
就職氷河期世代を雇い入れるメリットとしてあげられるのは、豊富な経験を持つ人材を即戦力として雇用できるという点です。
社会経験や人生経験が豊かな就職氷河期世代は、仕事を安定してこなせる人が多いといわれており、異業種からの転職であれば、組織に新しい考え方や発想を持ち込む存在にもなります。
また、就職氷河期世代が新しい仕事にチャレンジする姿は若手従業員によい刺激を与え、組織の一体感や士気も高まるでしょう。
人手不足になりがちな中堅層の補強としても、就職氷河期世代は最適です。若手世代とベテラン世代の橋渡しの役割も期待できます。
高齢者が多い職場では若返りにもつながり、本人の能力や頑張り次第では会社をけん引する中心社員に成長する可能性も秘めています。
さらに、就職氷河期世代のなかでも若手の人々は、10代後半から20代前半にかけて、新しく登場したインターネットや携帯電話に触れてきた世代でもあるため、最新のWeb技術やサービスに抵抗がないのも強みでしょう。
ほかにも、国の就職氷河期世代の支援策の一環として用意されている『トライアル雇用助成金』や『特定求職者雇用開発助成金』、『人材開発支援助成金』、『キャリアアップ助成金』など、就職氷河期世代を雇用することで、さまざまな助成金制度を活用できるのもメリットです。
こうした助成金の相談もハローワークで受け付けています。
就職氷河期世代のなかには、非正規労働者として働いている期間が長いために、経験不足やスキル不足を疑われてしまう人もいます。
しかし、そうした人たちのなかにこそ高い能力を持った優秀な人材が大勢います。
人手不足が加速する今、採用担当者は就職氷河期世代の雇用を真剣に考えてみてはいかがでしょうか。
※本記事の記載内容は、2023年12月現在の法令・情報等に基づいています。
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