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政府の歳出削減と「21世紀の資本」

15.02.03 | コラム

フランスの経済学者、トマ・ピケティ氏のベストセラーが、政府の歳出抑制策に対する壁になりそうだ、という記事が、1月31日の日経新聞朝刊に掲載されました。

 ベストセラー「21世紀の資本」が、なぜ政府の財政に影響を与えるのでしょうか。
 簡単に解説します。


 フランスの経済学者、トマ・ピケティ氏のベストセラーが、政府の歳出抑制策に対する壁になりそうだ、という記事が日経新聞朝刊に掲載されました。


 ピケティ氏の著書「21世紀の資本」では、長期的に資本収益率は経済成長率よりも大きいため富の集中が起き、その結果社会や経済が不安定になる、ということをテーマにしています。


 簡単に書くと、資産を持っている人は、その資産を運用することによって利益を得られます。これは、預金の利息だったり、株式の配当だったり、土地や建物の賃貸収入だったりというものです。自分が持っている資産に対する収益の割合を資本収益率といいます。

 この資本収益率は、全員が受けられる恩恵である経済成長率よりも大きい、というのがピケティ氏の主張です。そうすると、皆が経済的に豊かになるよりも早く、資産を持つ人が豊かになるので、富が資産家に集中し、格差が大きくなるというものです。

 氏は、この格差を是正するために累進課税*1や裕福税を導入することを提案しています。


 この「21世紀の資本」は今年1月現在、世界10数カ国で100万部を超えるベストセラーになっています。


 そして、ちょうど先月30日、政府の経済財政諮問会議が始まり、今年夏の歳出歳入改革の議論が始まりましたが、そこでは社会保障費を中心とする財政支出の削減が大きなテーマです。
 しかし、社会保障費は格差を是正する施策。この削減は極めて重要なテーマですが、ピケティ氏の著書を根拠としてこれに反対する議論が出てくるというわけです。


 過去にも、第1次安倍内閣の時、社会保障費を圧縮する改革を進めたが格差拡大への反発を招き、自民党が政権を失う伏線になったと考える向きも多いとのこと。


 我が国においては、一般に高齢者に資産が集中しており、高齢者が同時に社会福祉の受け手でもあるので、財政削減と格差是正は一致しているとも考えられます。
 「格差是正」という言葉だけを一人歩きさせず、事実に基づいた財政議論をしてもらいたいですね。

*1 累進課税
 所得が多くなるほど高い税率を課税するしくみ。我が国では所得税の税率が累進税率になっています。


(お問い合わせ先)
  植田ひでちか税理士事務所
  〒134-0088 東京都江戸川区西葛西5丁目1-11-701
  電 話:0120-954-486
  E-mail:info@ueda-cta.jp
  公式HP:http://www.ueda-cta.jp/pc/

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