税理士法人ユリウス

ハズレ馬券は経費 判決確定へ

15.02.24 | ニュース・情報

ハズレ馬券が経費として認められるかどうかが争われた事件で、最高裁判所が経費として認める判断を下す見通しとなりました。

この事件は、勝ち馬を確率的に予想し、可能性のある馬券を大量に購入することで全体として利益を上げる独自の予想システムを開発し、これを使ってなんと30億円以上の払戻金を受け取っていた元会社員が、所得税法違反で起訴された事件です。

 この男性の所得税法違反は確定なのですが、問題は大量に購入したハズレ馬券(28億7千万円)が費用として認められるか、でした。

 競馬の払戻金は、一時所得として課税されますが、勝馬投票券、いわゆる馬券の購入費は、通常、当たり馬券の費用だけが経費として認められます。
 例えば、1000円ずつ5つの予想を購入したとしても、当たった場合に経費となるのは、当たった分の1000円だけで、残り4000円は経費として認められません。

 なぜかというと、競馬は勝った馬と負けた馬がいるだけで、勝った馬を当てることで払戻金が出るので、負けた馬に払ったお金は、払戻金の獲得に何ら寄与していないからです。
 これは、一時所得のルール上、経費となるのは「収入を得るために支出した金額」、つまり、その収入を生じた行為をするため「直接」要した金額に限られているからです。

 しかし、この事件のように、勝ち馬を確率的に捉え、一定のルールに基づいて馬券を購入しているようなケースに限っては、「娯楽の範囲を超え、営利目的の継続的な資産運用とみることができる」として、経費として認められる判断が出たということです。

 ちなみに、今回のケースでは、この男性の所得が「一時所得」か「雑所得」かで争われ、結論として、雑所得であると認定されています。

 しかし、同様のケースで「事業所得」とみなされる場合はないでしょうか。

 事業所得であれば、青色申告の優遇措置や他の所得との損益通算など、多くの税制上のメリットを享受できます。

 事業所得か雑所得かの判断は、社会通念上どうか、という基準で総合的に判断されることから、見解の相違で数多くの争訟事案になっています。
 例えば、株取引やFX、不動産の譲渡、金銭の貸付など、どこから事業として行ったものと判断されるのか、難しいものもあります。

 今回のケースの男性は、会社員として仕事をする傍ら、馬券で利益を上げていました。もし馬券収益が事業所得として認定されれば、仮に損を出した場合に、給与所得を控除して節税をすることができます。

 これに着目して、競馬ソフトで損を出し、これを事業所得と主張して他の所得の利益を圧縮する人が出てくるかもしれません。


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