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「話せばわかる」は過去の話。企業内コミュニケーション悪化が招くあまたの損失

15.03.15 | ビジネス【人的資源】

従業員が職場に不満を持つと、いろいろな行動に出ます。
極端な場合は二極に分かれます。
ひとつは、その職場に愛想を尽かして辞めること。
もうひとつは、職場をよくするために立ち上がること。
この「立ち上がる」というのは、仲間を募って労働組合活動をする、訴訟を起こす、マスコミに訴えるなど、事を公にすることです。
実際はこのような行動を起こす前に、「やる気をなくす」とか、「悪口を言いふらす」とか、「遅刻や欠勤が増える」とか、「職場の人間関係を悪くする」とか、いろいろな態度や行動が見られます。
他方、従業員が会社を辞めるといっても、「不満分子がいなくなってありがたい」というわけにはいきません。
気分よく辞めてもらわないと、どのような情報を流すかわかりませんから。

有名な大企業が謝罪会見をするのは印象的です。
そのときに、内部告発から事が明るみに出ることがあるそうです。
実際は、大きな組織ほど従業員の不満を解決するためにいろいろな工夫をしています。

例えばハラスメント。
性的嫌がらせや職場におけるいじめなどを訴える社内の委員会をつくっています。

また、従業員の健康に関するカウンセリング。
これは、社外に相談窓口をつくることもあります。

最近の話題としては、インターネット。
公用と私用の別や誹謗中傷、さらに機密漏えい問題があります。
要は、給与や労働条件など共通の問題でない場合、個人の不平不満をすくい上げる仕組みをつくろうとしているのです。


今、働いている人の多くはサービス関連にいることでしょう。
このような職場では、皆が向き合っているためにお互い、何を考えているかわかりやすいとも言えます。
長い付き合いになるほど、家族的なつながりもできるでしょう。

ただそこへ若い人が入ると、彼らは違和感を持つかもしれません。
ある場合は突然、見も知らない外部の労働組合のプロから団体交渉を要求され、社長にとっては晴天の霹靂。
それがこじれて労務倒産ということもあります。

「話せばわかる」というのは過去のこと。
今後は外国人との協業も想定されます。
「苦情処理」には日ごろのコミュニケーションが大切なようです。


企業成長のための人的資源熟考


[プロフィール]
佐野 陽子(さの・ようこ)
慶應義塾大学名誉教授。1972年慶應義塾大学商学部教授。87年から2年間、日本労務学会代表理事。89年から2年間、慶應義塾大学商学部長・大学院商学研究科委員長。96年東京国際大学商学部教授。2001年から4年間、嘉悦大学学長・経営経済学部教授。主な著書:『はじめての人的資源マネジメント』『企業内労働市場』(ともに有斐閣)。

[記事提供]

(運営:株式会社アックスコンサルティング)

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