響き税理士法人

響き税理士法人
  • HOME
  • 【会計】
  • 「生産性分析」 ~ヒト・モノ・カネの有効利用の度合いを分析します~

「生産性分析」 ~ヒト・モノ・カネの有効利用の度合いを分析します~

15.04.13 | 【会計】

◆はじめに

生産性とは企業が人や設備などいろいろな生産要素を投入した割合に対して、どれだけ多くの物やサービスを産出し、成果を挙げたか、すなわち「生産要素の有効利用の度合い」を意味します。

生産性は、分析対象となる 生産要素によって労働生産性、設備生産性(設備投資効率)、資本生産性(資本投資効率)等がありますが、今回は労働生産性に焦点をあててご説明していきたいと思います。


◆生産性分析とは

「生産性分析」とは、生産要素として投入されたものがどれだけの価値を伴って算出されたか、算出された価値がどのように配分されているかを分析するものです。
収益性分析が投資家の立場から見た企業の効率性を測定する指標であるのに対して、生産性分析は、企業をとりまく様々な利害関係者(労働者、国・地方公共団体など)の立場から見た企業の効率性を測定する指標です。

生産性は、分析対象となる生産要素によって労働生産性、設備生産性(設備投資効率)、資本生産性(資本投資効率)等がありますが、今回は労働生産性に焦点をあててご説明していきたいと思います。


◆付加価値とは

まず、生産性分析では「付加価値」を算定することが必要となります。
付加価値は企業が新たに生み出した価値、付け加えた価値を表すものであり、その算出方法としては、一般的に(1)中小企業庁方式(控除法)と(2)日銀方式(加算法)が利用されているようです。

(1)中小企業庁方式(控除法)では、付加価値は次のように求められます。

●付加価値 = 売上高(生産高) - 前給付費用※
※前給付費用:売上(生産)のために他の企業から購入し、消費した財貨・サービスの価格  


(2)日銀方式(加算法)では、付加価値は次のように求められます。

●付加価値 = 経常利益+人件費+金融費用+租税公課+減価償却費 
 

◆労働生産性とは

労働生産性とは、従業員1人あたりいくらの付加価値を上げているかをみる指標であり、以下の式で求められます。

●労働生産性 = 付加価値 / 平均従業員数

労働生産性が低い場合は、次のように算式を分解して原因・対策を考えます。

●付加価値 / 平均従業員数(労働生産性)
 = 売上高 / 平均従業員数(従業員一人あたり売上高) ×付加価値 / 売上高(付加価値率)
 
「従業員一人当たり売上高」は、どれだけ効率的に従業員が配置されて貢献したかを分析する指標です。
この数値が大きいほど従業員一人当たりの売上に対する貢献度が高く、効率的に従業員が配置されている事を示しています。

「付加価値率」は、生産・販売活動をいかに効率よく行っているかを分析する指標です。
付加価値率の上昇は、売上単価の上昇や、原材料単価の下落、歩留まり改善による原材料消費量の減少などによる生産性の向上を意味しています。

上記のほか、労働生産性は、労働装備率、設備投資効率、設備利用度、資本集約度、総資本投資効率、総資本利用度に分解して分析できますが、ここではこれらの説明は割愛いたします。

 
◆付加価値の分配

付加価値の分配とは、付加価値がそれを作りだした生産要素にどのように分配されるか、あるいは、付加価値の構成比率を求める事をいいます。
付加価値はその性質に従って、労働、資本、公共等に分配され、その指標として、労働分配率、資本分配率、公共分配率、設備分配率等がありますが、ここでは、労働分配率についてご説明いたします。

●労働分配率 = 人件費 / 付加価値
 
この比率が高ければ「ヒト」による仕事が多いことを意味します。
付加価値の中でも、一般的に人件費はウエイトも高く、労働分配率の分析は特に重要とされています。
そして、同業他社と比較して高い割合であるならば、その企業は生産性が低いということになります。

労働分配率は、次のように分解できます。

●人件費 / 付加価値(労働分配率)
 =人件費 / 従業員数(一人あたり人件費) ÷ 付加価値 / 従業員数(労働生産性)
 
上記の算式より、一人当たり人件費を抑えるか、労働生産性をあげれば、労働分配率は低くなります。
しかし、一人あたり人件費を抑えると従業員のモチベーションの低下につながりかねないため、一人当たり人件費を変えずに労働分配率を下げるためには、労働生産性を高めていくことが重要といえます。

TOPへ