中谷彰吾税理士事務所

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中間貯蔵施設予定地の農地 売却なら贈与税の納税猶予がなくなる?

15.05.04 | 農業関係

いつもは農業関係のニュースをとりあげておりますが、税とリンクすることがほとんどなかったこのコラム。
今回は税理士らしく農業関係の問題を税とリンクさせてみました。
今回お届けするのは福島第1原子力発電所事故に伴う中間貯蔵施設の建設に関する問題です。

中間貯蔵施設の建設に伴い、農地売却を検討している農家さんもいらっしゃいます。
そんな農家さんから売却に関して税金が発生するという不満が出ております。
それは贈与税です。
厳密に言いますと、贈与税の納税猶予を受けている場合、その納税猶予がなくなり納税する必要が出てくるのです。

贈与税の納税猶予とは、農地を一括して後継者に贈与した場合、贈与税の課税を猶予する措置です。
これは贈与税を課税することにより農地を手放してしまい、後継者が減少してしまうのを防ぐ目的があります。
ただ「納税免除」ではなく「納税猶予」なのです。ということは猶予が解けることもあるのです。
その一例として後継者が農業をやめて農地を売却または転用する場合があります。自らの意志で農業を続けないのならしっかり納税してもらう、というわけです。今回の中間貯蔵施設の建設に伴う農地売却では、このケースに該当するというわけです。
現在この地域の農家さんは農業ができない状態で、政府も「自らの意志で農業ができなくなったわけではない」として納税猶予を認めてきました。しかし中間貯蔵施設の建設に伴う農地売却は明らかに「やむを得ず農地を手放さなければならないケース」のはずなのですが、いまのところ納税猶予を認めない方向のようです。

この件についてはニュースでほとんど見かけません。このようなことが原発周辺で起こっているということを知っていただければと思い書きました。私としてはこのケースは納税猶予を認めてほしいです。

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