融資を受ける際に金融機関が納得する事業計画書のツボとは
15.06.16 | ニュース・情報
金融機関から運転資金を借入する場合、必ず求められる事業計画書。
今回は、金融機関に納得感のある事業計画書をどう描くか、そのポイントをお伝えします。
金融機関が求める事業計画書は、例えば日本政策金融公庫の場合、以下のような様式になっています。
事業計画書
https://www.jfc.go.jp/n/service/pdf/jigyoukeikaku_130306a.pdf
(記入例)
https://www.jfc.go.jp/n/service/pdf/jigyoukeikaku_130306b.pdf
記載例を見ていただくとわかるように、A4で3面分(A3表裏)位の分量で、前期実績と、今期含め4期分の予測を記入します。
今回は、この事業計画書の様式を見ながら、ポイントを4つほどご説明します。
・経営課題はしっかりと記載する
計画書左側の経営課題は、箇条書きで済ませず、できるだけ作文しましょう。
作文のポイントは、現状→課題や問題→対応策、という流れで短くまとめて書くことです。
例えば、「現在2店舗目を出店したところだが、近隣への周知が十分でなく売上が伸び悩んでいる。そこで地域を限定した折込広告やチラシのポスティングにより、周知を図っていく」というような書き方です。
課題は3点ほどに絞り、それぞれ同じように作文します。
・売上が右肩上がりの計画を書かない
今後の業績見込みは、ついつい業績が右肩上がりに伸びて行く計画を書きたくなります。
しかし、もし右肩上がりの計画を作るのでしたら、なぜ業績が伸びて行くのかを、合理的に説明できなければなりません。
そこで、売上高については、前年か今期の固めの見込みに基づいて、そのまま横ばいで推移することを前提とした計画を立てます。
ただし、例えば新規店舗や営業所を作ったり、新規事業を始めたような場合には、売上が伸びていく合理的な根拠がありますので、それらは適切に反映させる必要があります。
・必ず利益が出る計画をつくる
借入金は、事業の利益から返済していきます。したがって、利益は必ず出る計画にしなければなりません。
具体的には、次の計算式が成り立つだけの利益が無ければならないからです。
税引後当期純利益+減価償却費>年間の返済額
つまり、税引後の当期純利益と減価償却費(いわば事業の返済可能額です。)を足した金額が、年間の返済額よりも大きくなるような計画にならなければなりません。
なお、上の「年間の返済額」は、既存の借入金の返済額+新規に申し込む借入金の返済額を入れて下さい。
売上については、横ばいの数字を計画にしていますから、ここから売上原価と固定費を引いて、返済可能額が返済額を上回ることができなければ、経費の削減などで対応することになります。
・借入負担年数は10年以下を目指す
例の事業計画書記入例では、借入負担年数を以下のように計算しています。
借入金の合計額÷(減価償却費+(経常利益の1/2))
これは、今の会社の返済力で借入金を全額返済するのに何年かかるか、という数字です。この年数を借入負担年数といいます。
この数字は、概ね10年以下になるくらいの金額が目安になります。それを超えてくると、お金を借りるのが難しくなるでしょう。
事業計画の書き方は、業種や事業の内容、現状などによって変わってきますが、必ず押さえるべきポイントは上のようなことになります。
具体的な書き方や計画の落としどころなど、個別のご相談がございましたら、当事務所までお気軽にご相談ください。
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植田ひでちか税理士事務所
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