中谷彰吾税理士事務所

遊休農地の課税を強化?

15.08.27 | 農業関係

2か月前と少し前の動きですが、放っておけない動きですので記事にしました。
政府の規制改革会議は6月16日、農地中間管理機構(農地集積バンク)のテコ入れ策として、遊休農地への課税強化の検討に着手することなどを安倍首相に答申しました。農地を効率的に利用する意思がない農地所有者には税負担を重くして農地を手放させ、担い手への集積を促す狙いがあるものと思われます。

とはいえ課税強化が農地集積につながるのでしょうか?そもそもこれは農家の財産権を侵害しかねません。なぜここまでして農地を集積させようとしているのでしょうか。
農地集積バンクによる農地集積対策は、安倍政権が掲げる農政改革の柱です。実施計画は3期目に入ってきてますが、実績としては14年度で新規集積面積が約7300ヘクタール。これは年間目標のわずか5%です。
政府は担い手への農地集積が進まない理由としては出しての農地の不足を挙げております。農地集積協力金(規制改革会議的には「相当のインセンティブ」)を準備していてもこの状況ということで、増税というムチの検討に入ったようです。
ただ遊休農地というのは一般的な農地に比べて資産価値は低いものです。資産価値の低いものに対して課税を強化するのは税の原則に反しています。
増税する前に出し手側にもっと農地を気持ちよく出していただくよう、制度の意義等を周知していくほうが先ですよね。いい制度だと思っているだけに残念な動きです。

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