中谷彰吾税理士事務所

食料自給率 5年連続39%

15.08.29 | 農業関係

先日2014年度の食料自給率が発表されました。結果は5年連続の39%…
1998年度に40%となって以来、ほぼ横ばいの状況が20年弱続いております。
農水大臣はこの状況について「高齢化などの影響で食料の国内需要が減少する中で、国内生産も減少してきた」と分析しております。
要は、生産は減っているが消費も減っているので結果的にバランスが取れてる、ということです。

ただ生産が減っているということは、生産力が弱っているということで、この点については歯止めがかかっていないのが現状です。現に政府が閣議決定した食料・農業・農村基本計画に新たに盛り込んだ「食料自給力」は一貫して下がり続けています。
食料自給力とは「国内生産だけで最大限供給できるカロリーを試算」したものです。

①栄養バランスを考慮して主要穀物(米、小麦、大豆)中心に作付する場合
②栄養バランスを考慮しないで主要穀物中心に作付する場合
③栄養バランスを一定程度考慮して、イモ類を中心に熱量効率を最大化して作付する場合
④栄養バランスを考慮せず、イモ類を中心に熱量効率を最大化して作付する場合

の4パターンを想定し、試算しております。この試算の結果が結構大変なことになっております。
①は1人・人当り1478キロカロリーとエネルギー必要量2146キロカロリーを大きく下回りました。ちなみに半世紀前には2035キロカロリーあり、ほぼ必要量を満たしておりました。また④は2736キロカロリーとなり必要量は満たしておりますが、半世紀前の2割減となっております。
食料自給力が大きく低下した最も大きな要因は単純に農地の減少です。農地面積は半世紀で3割も減っており、農水省も技術の向上で単位収量を大きく伸ばすのは難しく、農地の減少が生産力の低下につながるということを指摘しております。
農地が減ってきたのは経営が安定せず、農業をあきらめざるを得ない状況がずっと続いていたことが大きな要因ではないでしょうか。個人の努力には限界があります。生産基盤の安定を目指した施策ができることを期待しております。

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