介護事業所の倒産件数が前年比約50%の増加、生き残りの対策は!?
15.09.04 | 業種別【介護業】
2015年上半期における介護事業所の倒産件数が、過去最悪のペースで増加していることがわかりました。
調査事業などを手がけている東京商工リサーチの発表では、2015年の1月から6月までの老人福祉・介護事業の倒産件数は、前年同時期よりも約50%増加しており、このままのペースで行くと介護保険制度が開始された2000年以降最悪の結果になると予想されています。
特に目立っているのが、小規模事業者と開業数年の新規事業者の倒産です。倒産件数の割合では2010年以降に設立された事業者が約60%を占めており、経営経験やノウハウの乏しさが経営悪化に影響していると考えられます。また、そのうち70%が従業員数5人未満の小規模事業所という状況で、今後も小規模事業者には厳しい時代が続くことが明らかであると言えます。
2025年の超高齢化社会に向けて、介護事業所の需要はますます高くなります。
その一方、資本力の乏しい中小規模事業者にとっては、他業界からの新規参入による競争激化や慢性的な人材不足、建築費の高騰に加えて、9年ぶりに実施された4月からの介護報酬引き下げが経営悪化に追い討ちをかけている状況です。
今年8月から実施された一定所得高齢者の介護保険自己負担額2割への引き上げによる利用者の「介護サービスの使い控え」が多発すると、この先ますます介護事業所の経営状況は厳しいものになると予想されています。
大規模の介護事業者はM&A等により経営母体を強化していくことが想定されていますが、中小規模事業者はそのような資本力が期待できないため、早急な生き残り対策が必要でしょう。
生き残りのために必要なことは、事業者の事業形態、地域、規模、経営者のスタイル等によって異なりますが、「やるべきことをやる」という事が共通して重要ではないでしょうか。
「サービス力の強化」「介護職員のスキルアップ」につなげるためには、普段のちょっとした行動から見直してみることも大切ではないかと考えます。利用者に対する話し方、対応の仕方、これまでは面倒と思って取り扱っていなかったサービス(中重度者の受け入れなど)等々を、今後どのように行えば利用者の方々が満足してくれるかをスタッフ全員で話し合ってみることが改善の第一歩です。
面倒でも仕事の一つひとつを丁寧に区分し、それぞれの仕事に対して「自分ならどうされたいか」「どうしたら満足してくれるのか」を考えて「作業マニュアル」を作成してみる、そして管理者は仕事の評価を公平に行うために「評価シート」や「職業能力評価基準」等を整備するということから始めてみてはいかがでしょうか。
介護事業最前線
[記事提供]
(運営:株式会社アックスコンサルティング)
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