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五輪に見る報奨金などの税務の取扱い
16.09.30 | ビジネス【税務・会計】
リオ五輪では多くの日本人選手がメダルを獲得し、日本中を大いに沸かせてくれました。
五輪でメダルを獲得した日本選手には政府(オリンピックはJOC、パラリンピックはJPSA)から報奨金が与えられます。
以前は、「一時所得」として課税の対象になっていたのですが、スポーツ振興を目的に平成6年度税制改正でオリンピックにおけるJOCからの報奨金は非課税となり、JPSAでは平成21年度から非課税になりました。
ただし、無尽蔵に非課税というわけではなく、一時所得として特別控除額50万円は適用されるものの、メダルの色によって非課税の限度枠が決められています。
さらに、企業が独自で支払う報奨金となると、課税の対象となり、選手の給料扱いとして源泉徴収されます。
同じ報奨金であっても、法律の取扱いによって税務処理が異なるわけです。
今回は、正社員などに対して報奨金や賞金を与えたい場合の、税務上の取扱いについてお伝えします。
<一般的な報奨金や賞金に対する税務の考え方>
社員が組織に格段の貢献をして、企業側が何らかの形で報いたいと考えた際には、報奨金や給与の特別手当、ボーナスなどで現金を支給するということが多いです。
そうした場合、当然、所得税の源泉徴収として税金を差し引く必要があります。
他にも、クオカードや商品券、図書カードなどの金券類も同様になります。
しかし、創業記念品や永年勤続表彰記念品を支給した場合には、一定の条件を満たしていれば、給与として課税しなくてもよいことになっています。詳しくは、国税庁の「タックスアンサー」をご参照ください。
<課税における注意ポイント>
表彰に関する商品については少額であることが多いため、企業としては「福利厚生費」として処理することが多いと思われます。
しかし社員の立場で見ると、現金の支給ではなく、福利厚生の意図で現物支給があった場合でも、給与扱いになるケースがあります。
また、賞金を受ける側の立場で以下のようなケースにおいては、トラブルになる可能性があるでしょう。
・非課税となる一時所得金(最高50万円)だが、所得税が徴収される場合
・賞金が多額のため、所得が被扶養家族の所得額上限に達する場合など
(所得額が当初の見込みよりも増えることで被扶養者の所得を超えてしまう)
その他、社外の協力スタッフや派遣社員などに報奨金を与える場合には、企業側は交際費として経費処理します。一方、受け取った側は、一時所得扱いになり、内容に応じて確定申告の必要があります。
以上のように、報奨金に対する企業側の経費処理は、相手の立場や報奨内容によって変わります。基本的に各種賞金は給与所得や一時所得金とみなされ、課税の対象になります。
「どうしてこんなに税金が引かれるの?」と不満が出ないよう、報奨金の性質を理解した上で、受け取る側にも周知徹底しておきましょう。
会社に貢献してくれた社員に感謝を込めて金品を贈るときは、現金が現物か、または福利厚生費として適正に処理されるものなのかなどを、あらかじめ検討しておいたほうがよいでしょう。
詳しいことは会計事務所にお問い合わせください。
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