土地家屋調査士法人共立パートナーズ

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地積測量図の精度について

16.10.06 | オリジナル記事

地積測量図について


こんにちは
共立測量登記事務所の田畑と申します。

今回は地積測量図について書かせていただきます。


地積測量図は、土地の登記記録に付随して法務局に備えられる図面で、
土地の形状、地積、求積方法などが記されたものです。

分筆登記や地積更正登記を申請しないと備わりませんので、
地積測量図のない土地も多数存在します。

また、法律で地積測量図の提出が義務付けられたのは昭和35年から
(経過措置により昭和38~40年頃のところもあり)ですので、
それ以前の分筆登記などであれば法務局に地積測量図が備えつけられていないことになります。

 

地積測量図は境界確定の重要な資料になりますが、
作成された時期によって測量精度や境界特定能力にバラツキがあるため注意が必要です。


昭和30年代後半~昭和53年頃 境界特定能力は低い
この時期に作成されたものは、
地積測量図の重要性の認識が関係者間でも十分でなかったため、
精度が低いものが多いです。
なかには、かなり高精度の図面もありますが、
この時期の地積測量図は境界特定能力は低いものが多いです。


昭和53年頃~平成5年頃 現地復元力が十分ではないものが多い
昭和52年10月1日施行の不動産登記法施行細則改正で境界標があれば地積測量図に明示するようになったが、
近傍の恒久的な地物との位置関係の表示まで義務付けていなかったので
現地復元力が十分ではないものが多く、
分筆時の残地部分が測量されていないものもあります。


平成5年頃~平成17年頃 現地復元力が強化
平成5年の不動産登記法改正で測量成果の筆界点の座標値を記載しなければならなくなったため、
現地復元力が強化されたました。
永久境界標の埋設が法制化され、境界立会・確認が厳格に求められるようになりました。


平成17年以降 境界特定能力が一層強化
平成17年に改正不動産登記法の施行にともない、
分筆登記における残地求積ができなくなりました。(広大な土地の一部を分筆する時等は例外もあり)
原則として基本三角点等に基づく測量の成果による筆界点測量が求められ、
座標値を記載することになりましたので、境界特定能力が一層強化されました。

平成17年以降に作成された地積測量図が備わっている土地については、境界トラブルが発生することは少ないと考えられます。

なお平成17年以降に作成された地積測量図が備え付けられている土地を分筆する場合は、
地積測量図と現地が整合している場合に限り、隣地立会を省略して分筆できることもあります。


最後までお読みいただき、有難うございました。
土地家屋調査士 田畑 辰雄

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