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不動産売買契約後に相続が発生した場合どうする?
16.12.09 | 業種別【不動産業(登記)】
通常の不動産売買の流れは、売買契約を締結して、後日残代金の支払いを行い、その残代金支払い時に、買主に所有権が移転するというのが一般的です。
民法上は、売買契約成立時に所有権が移転することになっています。
しかし、取引の安全上、不動産売買では売買代金の全額を売主が受領したときに、所有権が売主から買主へ移転するという特約(所有権移転時期の特約)を設けていることが多いです。
そのため、残代金の支払いがあったその日に司法書士が売主から買主へ所有権移転登記を行います。
では、売主あるいは買主が売買契約後に亡くなった場合はどうなるのでしょうか?
上記のように、所有権移転時期の特約がある場合、売買契約を締結しただけでは所有権は移転しないことになります。
ですから、売主が亡くなった場合には、買主は所有権を取得せず、売主の相続人が相続することになります。
一旦相続人へ名義変更した後、改めてその相続人と買主とで売買契約を締結する必要があります。
買主が亡くなった場合には、売主と買主の相続人が改めて売買契約を締結する必要があります。
なお、不動産の売買価格が安価であったり、親族同士で売買したりする場合には、所有権移転時期の特約をつけないことがあります。この特約をつけないということは、契約時に所有権が移転することになります。
では、特約をつけずにとりあえず売買契約を締結し、後日所有権移転登記を行うケースで、売主あるいは買主が亡くなったときはどうなるのでしょうか?
この場合には、売買契約時に所有権が買主に移転していますので、売主から直接買主へ移転登記をすることができます。もっとも、売主あるいは買主は亡くなっていますので、登記に関する手続きは相続人が行うことになります。
細かい話ですが、理論上、所有権移転時期の特約が付いている売買で、残代金の支払いの決済時に、売主は司法書士に署名・押印後の登記委任状を渡しますが、司法書士が法務局へ登記申請するまでに売主が急死する可能性もあります。この委任状は無効になってしまうのでしょうか。
結論としては、不動産登記法には「代理権不消滅」という規定があり、たとえ売主が急死したとしても、委任状は無効とならず、それに基づき登記を行うことが可能とされています。
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