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あなたの会社も関係ある!?「多重代表訴訟制度」

14.10.07 | 【会計】

◆はじめに 

第2回のメルマガで改正会社法について簡単に解説いたしました。

改正会社法では、社外取締役等の要件厳格化や監査等委員会設置会社制度の創設など、大企業に関連する改正項目が多い印象ですが、中小企業には関係ないのでしょうか?

今回は、中小企業にも関連すると思われる項目の一つである多重代表訴訟制度について詳述したいと思います。

◆多重代表訴訟制度とは

多重代表訴訟制度とは、親会社の株主が子会社の役員等に対して責任を追及する訴えを提起することができるものです。従来の会社法では容認されていませんでしたが、本年6月27日に公布された改正会社法により創設されました。来年春頃に施行される見込みです。

制度創設の背景には、持株会社制度があると言われています。現在の持株会社制度においては、グループの中核業務を担う会社が、持株会社の完全子会社となるケースも多く見受けられます。
従来の会社法では、株主代表訴訟を提起できるのはその会社の株主のみであったため、グループの中核を担う子会社が問題を起こしても、親会社株主は責任追及ができないという問題がありました。

このような問題を解消すべく、企業グループにおける親会社株主を保護する観点から多重代表訴訟制度が創設されました。


◆ 適用範囲

しかし、企業側の濫訴になるのではないかとの懸念から、その適用範囲がかなり限定されています。

具体的には、訴訟を提起する資格を有する株主は、最終完全親会社の総株主の議決権または発行済株式の1%以上を保有する株主に限定されています。なお、公開会社の場合は、6か月前から引き続き1%以上を保有している必要があります。

また、対象となる子会社も最終完全親会社が有する子会社株式の帳簿価額が最終完全親会社の総資産額の5分の1を超える場合とされています。


◆中小企業への影響

多重代表訴訟制度は大企業に限った話ではなく、対象は公開会社に限られていません。
そのため、要件を満たせば中小企業でも当然に対象となります。

総株主の議決権の1%以上を保有する株主は、大企業よりも中小企業の方が多いと思われます。
親族間で争いがあるケースなどでは特に注意が必要と考えられます。

このようなケースに該当する可能性があるようでしたら、もしもの場合に備えて子会社株式の帳簿価額を親会社の総資産額の5分の1以下にするなどの対策を講じることを検討してみてはいかがでしょうか。

キリサワ税理士法人 情報発信委員会

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