備えあれば…「災害見舞金」の明確な規定を
14.11.05 | 【社会保険・労務】
近年、自然災害による大きな被害が各地で頻発していることから、従業員への見舞金の支給を検討する企業もあると思います。
慶弔見舞金の支給事由は、結婚や出産、本人や家族の死亡等々がありますが、今回は災害を支給事由とした見舞金について取り上げます。
◆「災害見舞金」の実情
労務行政研究所が行った東日本大震災直後の緊急WEBアンケートによると、
災害見舞金の対象被災者はいない企業が39.0%ある一方、
①従来の規定に基づき支給した企業が26.2%
②従来の基準に上乗せして支給した企業が12.8%、
③新たに災害見舞金制度をもうけた企業が2.8%
と、41.8%が支給または支給を決めています。
支給水準としては、全損失で平均26.5万円、半損失で平均15.5万円というアンケート結果になっています。
また、別の調査によると、8割程度の企業が自然災害で住居や家財が被災した場合に災害見舞金を支給しているそうです。
◆災害見舞金の支給
自然災害による被害については、国が定める基準により全壊・半壊・床上浸水・床下浸水等の被害の判定が行われ、市町村はこの基準に基づき「罹災証明書」を発行します。
http://www.bousai.go.jp/taisaku/hisaisyagyousei/risaisyoumeisyo.html
そのため、民間企業でもこの基準に応じて定めることが一般的で、支給に際して罹災証明書の提出を求め、被災認定を行う方法がとられることが多いようです。
◆見舞金に関する規定はどうする?
通常は、就業規則の慶弔見舞金支給規程を設けます。
上記の通り、市町村の発行する罹災証明書に基づいて被災認定が行われることが一般的であるため、社内申請の際にこの提出を求める旨も規定しておくとよいでしょう。
なお、所得税法では、
個人が心身又は資産に加えられた損害につき支払を受ける相当の見舞金(役務の対価たる性質を有するもの等を除きます。)については、所得税が非課税とされます(所法9①十七、所令30三)ので、企業からの見舞金が「相当の見舞金」に該当すると判断されれば、所得税は課せられません。
そのためにも、支給金額等は明確に規定しておくことが望ましいと考えます。
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