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企業版ふるさと納税とは? 個人向けとの違いと活用ポイント

21.10.08 | 【税務】

今回は、企業版ふるさと納税についてご紹介します。

最近話題の『ふるさと納税』について、個人向けのみならず、自治体が実施する地域創生事業に寄附をすることで、企業が税額控除を受けられる『企業版ふるさと納税』があることをご存知でしょうか。
今回は、創設されたばかりの企業版ふるさと納税についてご紹介します。


【ふるさと納税の意義とは?個人版から始まり企業版も】
ふるさと納税の制度は2008年に始まりました。
その背景にあるのは『生まれ育った地域に納税できる制度を作ろう』という考えです。
そもそも地方には、せっかく子育て支援に行政コストをかけても、若者が進学や就職などのために都市圏に流出してしまうため、税収が増えず財政が悪化するという課題がありました。
そこで、『生まれ育った町になにか恩返しをするような感覚で、都市と地方の財政収支の不均衡を正す制度があってもよいのではないか』という提案がなされ、これがふるさと納税制度の発端となりました。
個人向けだけでなく、企業向けのふるさと納税の制度も2016年に創設されました。
正式名称は『地方創生応援税制』で、内閣府の主導により取り組まれている地方創生施策のなかの一つです。
企業が地方を応援するためのきっかけづくりとしての意味があり、自治体が実施する地方創生に関するプロジェクトに寄附を行うことによって、法人住民税、法人事業税、法人税が特例的に控除されます。
企業版ふるさと納税にはメリットが二つあります。
一つは節税効果、二つ目は、ふるさと納税をすることで、CSR(企業の社会的責任)活動に取り組むことができる点です。


【制度の適用条件を確認】
企業版ふるさと納税制度の活用にあたっては、いくつかの適用条件がありますので、ご注意ください。

・寄附先の条件:本社所在地に該当する自治体への寄附は制度対象外
※寄附を行うことは可能ですが特例措置を受けられません。
・寄附を行うことの代償として「経済的な便益」を受け取ることは禁止です
・最低寄附金額:10万円
・一部の自治体は制度適用外

【税額控除が適用され、CSR活動にもなるふるさと納税】
まず、企業版ふるさと納税の大きなメリットである節税効果について説明します。
税目ごとの特例措置は以下の通りです。
現在の税額控除割合は、2020年の税制改正で現行の2倍に引き上げられています。
この措置は2020年4月以降の各企業の事業年度基準(新事業年度)から適用となり、2024年度までとされているので注意が必要です。

・法人住民税…寄付額の4割
・法人税…法人住民税で4割に達しない場合、その残額。ただし、寄付額の1割を限度
・法人事業税…寄付額の2割

税負担の軽減額を例示し、計算してみましょう。
法人が寄附を行った場合は、その全額を経費として計上できるしくみがあります。
法人住民税と法人事業税の割合は約30%なので、1,000万円を寄附した場合、1,000万円×30%=300万円を決算時に損金として追加できるのです。
さらにふるさと納税制度で、最大60%の税額控除を受けることができるため、寄付額が1000万円の場合は、最大で1,000万円×60%=600万円が控除されることになります。
まとめると、1,000万円を寄附した場合、最大で300万円+600万円=900万円分の税負担の軽減効果があります。

 また、ふるさと納税をすることによりCSR活動に取り組むことができ、取引先に良い印象を持ってもらえることもメリットです。
そもそもCSR活動は、企業が利益を追求するだけではなく、倫理的な観点から社会に貢献する責任がある、という価値観のもと成り立っています。
CSRの意識を持ち、実際に取り組めば、社会貢献をしているポジティブな企業として、見てもらうことができます。
社会的評価を高めるという意味でもCSR活動は有効で、実際にさまざまな企業が独自のCSR活動を行っています。
企業Webサイトからその取り組みを知ることができるでしょう。

節税や社会評価の向上が期待できる、企業版ふるさと納税。
特例措置期間中は、より節税効果も高いので、この機会に取り組んでみてもよいでしょう。

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