大阪プライム法律事務所

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ニューヨーク州弁護士とロースクール

21.09.30 | ニュース六法

秋篠宮ご夫妻の長女眞子さんと結婚した小室圭さんが、ニューヨーク州の司法試験を受験していましたが、不合格だったことが判明したようです。結婚まであれこれ誹謗中傷の中で奮闘していた二人ですが、無事に合格していたらいい門出になると思い、心で応援していたのですが残念なことでした。同州の試験は来年2月にも実施される予定で、出願期間は11月中ということですから、ぜひ再挑戦して合格を果たしてほしいものです。
ニューヨーク州弁護士とはどういうものか、詳しいというほどではないのですが、分かっている範囲で少しだけご紹介したいと思います。

 

■米国弁護士という資格はない
テレビなどでは、よく「米国弁護士」などというように肩書が出されていることがありますが、実際にはそのような資格はありません。アメリカでは州単位で弁護士資格が付与されるので、正確には、ニューヨーク州弁護士とか、カリフォルニア州弁護士というように州ごとの表示になります。 (写真 アメリカ合衆国最高裁判所)

■ニューヨーク州弁護士とは
ニューヨーク州弁護士とは、ニューヨーク州の司法試験に合格しアメリカ合衆国連邦法及びニューヨーク州法に基づく法律業務ができる弁護士資格のことをいいます。アメリカは州が寄り集まって一つの国家がつくられています。「合州国」という言葉がそれを表現しています。そして、州ごとに法律が異なっています。このため、アメリカの全ての州で弁護士としての業務ができる資格はなく、各州ごとに資格を取得しなければなりません。ニューヨーク州弁護士資格を取得すればアメリカ合衆国連邦法及びニューヨーク州法に基づく法律業務ができるようになります。 

ニューヨーク州弁護士になるには
日本人がニューヨーク州弁護士資格を取得しようと思えば、ニューヨークのロースクールのLLM(Master of Laws)を修了して、同州の司法試験に合格するのが一般的なコースです。

米国ロースクールの大半は、J.D.(Juris Doctor,3年)コースとLL.M.(Master of Laws,約9か月)コースの2つの課程を設置しています。LL.M.コースはJ.D.修了生あるいはJ.D.相当の法学教育を外国で受けた者を対象としたコースで、日本人留学生の多くはLL.M.に留学します。日本の若手弁護士も、多くがここを終えて資格を取得して帰国しています。(小室さんは日本では法学部は出ていないのですがLL.Mに入っていたようです。)

合格率は州によって異なりますが、ニューヨーク州の場合、初めての受験での全体(外国人を含む)の合格率は89%で、そのうち外国人の場合は、70%です(2020年10月 出典:伊藤塾)。 

■ニューヨーク州の司法試験
試験は、法律文書の起案(20%)、米国連邦法の内容を問う記述試験6問、全州共通の選択式試験200問で、400点満点中266点以上がおおよその合格ラインのようです。合格率は年度によって異なり、2020年10月試験で約85%、アメリカ人以外の合格者は約70%とのことです(ニューヨーク州司法試験委員会「February 2020 Exam Results」)。日本の司法試験の合格率約39%(令和2年度)と比較すると合格率はずいぶんと高いようです。(私が受けた時代は2%ぐらいでしたが)。 

■弁護士人口
弁護士の人口ですが、日本の弁護士の数は約43,000人(2021年)ですが、アメリカ全体での弁護士数は約133万人、ニューヨーク州弁護士の数は約17万人となっています。ニューヨーク州だけで日本の4倍の弁護士が存在しているのは、さすがに米国だなとは思います。小室圭さんには、ぜひ早く活躍してもらって、眞子さんを幸せにしてほしいものです。

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