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早めの対策を!身内に事業承継する際の相続・贈与税

21.11.02 | 【税務】

経営者が自身の子どもや身内を後継者にするとき、避けて通れないのが財産相続の問題です。
相続財産が多いほど相続税がかかるため、可能な限り相続税対策をしておきたいところ。
今回は、事業承継に関する相続税対策のヒントを紹介します。

【高額になっている場合も?自社株の相続問題】
中小企業の事業承継では、多くの場合、株式の相続が問題になります。
特に、会社の業績がよければ株価も高くなるため、創業者が数百万円だと思っていた株券が、相続直前に数億円だったと判明するケースもあり、注意が必要です。
株式の相続税を抑えるには、以下のような方法で、自社株の評価額を低く抑えるよう工夫をすることができます。

◆配当金を減らす・利益を減らす
非上場株式の相続税評価額を計算する方法として『類似業種批准方式』という計算方法があります。
これは自社と類似している業種の株価を基にして自社株を評価する方法で、評価要素として、配当金額・利益金額・純資産価額を用います。
つまり、配当金や利益、純資産の額を減らせば、評価額も下がるのです。
原則的評価方式で計算する場合、会社の総資産価額・従業員数・取引金額により大会社、中会社又は小会社に区分し、大会社は『類似業種批准方式』、中会社・小会社は『類似業種批准方式』と『純資産価額方式』を併用して評価します。

◆低額で増資する
現状の株価よりも低い金額で第三者割当による増資を行うことで、発行株式数を増やし、1株当たりの純資産の額を減らすことができます。
あまりに低い金額になると、『特に有利な発行価額』に当たり一定の手続きをしないと違法になるリスクが出てきますが、中小企業にはそのリスクが低いと言えます。
非上場会社の場合、客観的資料に基づいて合理的に算定された発行価額であれば、『特に有利になる発行価額』には当たらないとされています。

以上のような対策のほか、相続に備えて経営者が会社に株を売り、自社株化するという手段もあります。
後継者が納税できるだけの資金力がなければ、前もって会社が株を買い取ってしまうというのも有効な手段です。


【不動産は相続で有利、優遇税制の利用も検討を】
続けて、まとまった預貯金などの相続税対策や優遇税制について説明します。

◆預貯金は不動産に換える
不動産の購入は、事業承継の相続対策としてよく使われています。
不動産の相続税評価額は、その時価の8割程度になるので、預貯金であれば相続財産はそのまま1億円と評価されるところ、それを不動産に換えれば8,000万円前後にまで抑えられます。
預貯金で都心のマンションなどを購入しておけば、相続税対象額を引き下げられるだけでなく、あとで換金しやすく、価値が上がる可能性もあるといったメリットがあります。

◆事業承継税制を活用する
中小企業の事業承継を促すための『事業承継税制』には現在、特例措置があり、一定の要件を満たす場合は、発行した株式すべてにかかる相続税と贈与税の全額が猶予及び免除の対象になります。
これは、期間の決まった限定措置なので、利用する前に適用可能か調べる必要があります。

 後継者に渡すのは、オーナーが大切にしてきた会社です。
相続問題で経営がつまずかないよう、早いうちからしっかり準備しておきましょう。

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