大阪プライム法律事務所

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無料求人広告をめぐる詐欺にご注意

22.09.25 | ニュース六法

ハローワークなどに求人をだしたりしたときに、「求人サイトに無料で掲載しませんか」という営業電話がかかってきて、無料だからということで安易に承諾したら、後に法外な金額を請求された。最近、こういった相談が多くあります。「無料求人広告をめぐる詐欺トラブル」問題です。どんな手口なのか、また引っかかってしまった場合は、どうしたらいいのでしょう。

■手口
「無料求人広告をめぐる詐欺」の手口の基本的なパターンはいくつかあります。典型的なものは、電話営業などで無料であることを強調し勧誘するも、契約書を兼ねた申込書に非常に小さな文字で期間経過後は期限内に解約しないと有料更新となるとしていて、それを根拠に期間経過後に多額(30万程度)の請求をしてくるというものです。こうした業者は、ハローワークの求人票を見たり、求人雑誌などの掲載広告を調べたりして、求人募集中の狙いやすそうな中小企業に絞って営業してきます。

勧誘の入り口は、電話営業のほかに勧誘FAXが送られてきたりもします。いずれも勧誘の際には「求人広告を出してあげます」「2週間は掲載が無料です」「以降は有料になりますが解約すればお金はかかりません」「その際にはお知らしますので安心してください」「今だけのキャンペーンで、無料枠はあと一社のみで埋まれば終了なので今すぐ申し込んでください」などと、あたかも親切に無料で載せてあげると言っているのにOKしないのは不思議だと言わんばかりの勧誘をするので、ついタダならばと思ってOKしてしまい、送られてきた申込書にサインしてFAXもしくは郵送で送り返すというものです。しかし、実際は申込書の端か裏面に、ずいぶんと小さな字で、期間経過後は自動更新して有料となる旨や、解約する場合の厳しい規定が書かれているというものが多いパターンです。

期間終了前には解約の案内はしてこないし、仮に解約を申し出たとしても解約書類を送ると称して期限ぎりぎりに送ってきて期間を過ぎさせてしまうなど、解約させないように仕向けてきます。その手口も次第に悪質巧妙化もしてきています。もちろん、求人広告の効果は全くないというのも共通しています。

その時点で、相手方は、「契約書で申し込んでいるのだから、請求は合法だ!支払わないほうが詐欺だ」などと強く広告料を請求してきます。これに引っかかった企業は、契約文言をしっかりと確認しなかったという負い目もあってか、戸惑いつつ、ただ請求額が高額なために対応に苦慮します。特に求人担当の社員さんが無料なのでという安易な判断で、上司の許可も得ずにしていたような場面などは、担当者は気の毒なほどです。 

■まずは引っかからないこと
こういった無料求人広告の詐欺には、まず騙されないように気を付けるのが基本です。「ただより高いものはない」は、基本中の基本です。そもそも、無料で求人広告を受ける以上は、その広告会社は何をもって収益を上げているのかに思いを巡らすと、自然とその不自然さに気が付くはずです。 

■消費者保護が働かない
この無料求人広告トラブルの厄介な点は、求人広告を申し込んでいるのは、通常は消費者ではなく企業(個人事業主、会社、その他の法人)である点です。事業を経営しているという点から、法的には消費者保護のための法律が適用されないのです。勧誘をする側は、そのことを承知して狙いをつけてきています。

■対抗方法
実際にこの求人広告詐欺にひっかかってしまってから、悔やんでいても始まりません。そういったときの対処法は、ずばり、徹底的に対抗する姿勢を示すことです。請求には絶対応じず、支払いを拒否することです。

相手方は契約書を盾にとって攻撃してきます。これを撃退するためには法的根拠も必要です。ここで多く用いる反論としては「契約など成立していない」、「詐欺だから契約を取り消す」「錯誤だから契約を取り消す」「こんな契約は公序良俗違反で無効」「債務不履行を理由に契約を解除する」などです。

当事務所でも、依頼を受けた顧問先など数社が被害にあわれ相談してこられました。いずれのケースも、パターンはほぼ同じでしたが、不思議なことに相手方広告会社の企業名は手口がほぼ一緒なのに違う企業名でした。おそらく、ネットなどで悪質企業名が載ってしまうので、度々に企業名を変更しているからだと思われます。そのいずれの事案においても、代理人弁護士として内容証明にて支払い拒否をして、断固と交渉することで、全て支払いなしで解決できています。おそらく、訴訟までせずに、さっさと支払いをしてくる会社のみを相手にすることで儲けているのではないかと推測しています。 

■皆様の事業所におかれも、十分にお気をつけて頂き、実際に被害にあわれた際には、ぜひこの記事を参考にされ、場合によっては弁護士に相談されるなどして対応してください。

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