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「安全性分析」~企業の体力がどれくらいあるかについての分析~

15.03.03 | 【会計】

◆はじめに 
財務分析は、一般的に①収益性分析②安全性分析③生産性分析④成長性分析の4つに分類されます。

第7号のメルマガでご紹介した資本利益率は①収益性分析の代表的な指標でした。

そこで、今回は安全性分析における基本的な指標についていくつかご紹介したいと思います。


◆安全性分析とは
安全性分析は、その企業にどれだけの支払能力があるのかについて、企業の健全性を判断するための分析です。
企業が事業活動を継続していくためには、収益性の向上のみでは足りず、債務の支払能力を有することが欠かせません。
そのため、企業の安全性を分析して把握しておく必要があると思います。
安全性分析における基本的な指標として
(1)流動比率(2)当座比率(3)自己資本比率(4)固定比率(5)固定長期適合比率
がありますので、それぞれについて簡単にご説明したいと思います。


(1)流動比率
流動比率は、流動資産と流動負債の金額を比較することで企業の短期的な支払能力を簡易的に判断する指標であり、以下の算式で算出します。

◎流動比率=流動資産/流動負債×100(%)

流動資産は短期的に現金化される資産で、流動負債は短期的に支払期限の到来する返済義務です。
流動比率は、短期的な支払債務が短期的な資産でカバーできているかを見るための指標であり、200%以上が望ましいとされていますが、実際に200%以上の企業は少なく120%~140%の企業が多いようです。
100%未満の場合は、短期的な資産よりも短期的な支払債務のほうが多いということですので、資金がショートする可能性があり、支払能力に問題があると推測することができます。


(2)当座比率
当座資産と流動負債の金額を比較することによって企業の短期的な支払能力を判断する指標であり、以下の算式で算出します。

◎当座比率=当座資産/流動負債×100(%)

流動比率における流動資産の代わりに当座資産を用いた指標であり、流動資産には棚卸資産が含まれますが、当座資産には含まれせん。
過剰在庫は短期的な資金化が難しいため、過剰在庫が多額に存在する場合には、流動比率では意味がありません。そこで、棚卸資産を含まない当座資産を用いた当座資産で支払能力を判断します。
当座比率は100%以上であれば支払い能力に問題がないと評価されます。


(3)自己資本比率
自己資本比率は、総資産(総資本)が、返済期限のない株主資本(自己資本)でどれだけまかなわれているかを判断する安全性の指標であり、以下の算式で算出されます。

◎自己資本比率=自己資本/総資本×100(%)

自己資本比率が高い(総資本に占める自己資本の割合が多い)ほどその企業は返済不要の資本を元手に事業を行っているということであり、経営が安定していると判断できます。
安全性の面からは多ければ多いほどいいということになりますが、資本コストの面から考えると、必ずしもそうとは言えません。


(4)固定比率
固定資産に投下された資金が、返済期限のない株主資本(自己資本)でどれだけカバーできているかを判断する長期的な安全性の指標であり、以下の算式で算出されます。

◎固定比率=固定資産/自己資本×100(%)

固定資産に投下された資金は耐用年数にわたってゆっくりと回収されるため、返済の必要のない自己資本でまかなわれるべきという考え方に基づくものです。
固定比率は100%を超えないのが理想とされています。


(5)固定長期適合比率
固定資産に投下された資金が、長期資金でどれだけカバーできているかを判断する長期的な安全性の指標であり、以下の算式で算出されます。

◎固定長期適合率=固定資産/(固定負債+株主資本)×100(%)

固定資産に投下された資金は耐用年数にわたってゆっくりと回収されるため、返済の必要のない自己資本及び長期的な負債でまかなわれるべきという考え方に基づくものです。
固定長期適合比率も固定比率と同様に100%を超えないのが理想とされています。


◆おわりに
今回は、安全性分析の基本的な指標として、主に貸借対照表から分析する指標をご紹介しました。
安全性分析には他にもインタレストカバレッジレシオや債務償還年数等の指標が用いられることもあります。
これらの指標についてはまた別の機会にご紹介したいと思います。

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