大阪プライム法律事務所

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阪神タイガースの優勝記念グッズで下請法違反

09.03.14 | ニュース六法

公正取引委員会は、本年2月25日に、阪急阪神百貨店に対して、昨年プロ野球阪神タイガースの優勝を見込んで下請け業者に発注した記念グッズの代金を減額していていたことを、下請法違反と認定し、再発防止などを勧告しました。

(Photo by (c)H.MIKI 甲子園球場)

公正取引委員会は、本年2月25日に、阪急阪神百貨店に対して、昨年プロ野球阪神タイガースの優勝を見込んで下請け業者に発注した記念グッズの代金を減額していていたことを、下請法違反と認定し、再発防止などを勧告しました。(Photo by (c)H.MIKI 甲子園球場)

阪神タイガースが首位だった昨年7―8月、下請け業者に優勝記念グッズの製作を計約1億5000万円で発注したものの、納品後に阪神が優勝を逃したため、下請け業者に代金の約4分の1しか払わなかったようで、公取委の調査開始後に、減額分を支払ったといい、阪急阪神百貨店は、再発防止に努めるとしています。

 

昨年は、阪神ファンにとっては天国から地獄でした。タイガースが序盤から首位を独走し、6月から7月ころは「優勝決定の時期はいつか」を話題にしていたほどです。それにもかかわらず、突然の失速、その後のクライマックスシリーズも敗退。落胆は大きなものでした。今年は幸い、あのカーネルサンダースが見つかったこともあり、期待が高まっていますが。

昨年は、かかる状況のもと、阪神百貨店が、はやい段階からタイガース優勝を見越して、優勝記念グッズを発注していたところ、あの大失態敗戦で、販売不可能となってしまった。この見込み違い損を、自社で全部かぶるのではなくて、下請け業者にしわ寄せしていたようです。 

下請代金支払遅延等防止法(下請法)

同法は下請け業者に責任がない理由で、いったん契約した代金を減額することを禁止しています(下請代金の減額の禁止)。そのために、公取の勧告へと至ったわけです。 

阪神百貨店サイドは、「下請け業者とは、優勝しなければグッズは回収・廃棄し、経費は業者が負担するとの誓約書を交わして製造したが、経済危機という社会情勢も考えて、半額は(阪神側が)負担すると決定した」と述べ、むしろ下請業者の負担軽減に配慮したもとの弁明をしていました。しかし下請法は、そこで定める形式的要件に該当するかどうかで規制対象行為を判断するため、下請事業者が承諾していたとしても、違反にあたる書面を交わすこと自体、親事業者にとって下請法違反となりえます。現実社会の取引では、双方の合意があるという大義名分のもとで処理している場合が多くありますが、下請法違反として問題となるので、注意が必要です。

消費者と直面しコンプライアンスが最も求められている百貨店経営会社として、こういった排除命令や勧告になるような行為の再発防止に、ぜひ力を入れて欲しいものです。

下請代金不払いへの武器
下請事業者からの法律相談で「元請けが下請代金を払わない」というものが多くあります。こういった事案では、請負代金請求訴訟を提起する方法を基本的なアドバイスとなりますが、公正取引委員会を通して解決をする方法もあります。その際の武器が「下請代金支払遅延等防止法」(下請法)です。同法は親事業者による下請事業者に対する優越的地位の濫用行為を取り締まるために制定された独占禁止法関連の法律です。詳しくはニュース六法を参照下さい。

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