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配偶者控除が改定もたらす、介護業界への影響とは?

18.05.02 |

2017年度の税制改正で『配偶者控除・配偶者特別控除』が見直され、2018年1月から適用されています。

この改定が、非常勤の訪問介護ヘルパーなど、多くの短時間労働者によって成り立っている介護業界にどう影響を及ぼすのでしょうか?

新しい配偶者控除・配偶者特別控除の概要とともに、従業員の“人材確保”について考えていきます。

配偶者控除・配偶者特別控除
従来とはココが違う!

これまで、配偶者控除・配偶者特別控除を受けたい人は、年収が以下の金額を超えないよう働き方を調整してきたと思われます。

・配偶者控除が適用される“103万円”
・社会保険の被扶養者に認定される“130万円”

しかし、2017年度の税制改正により、配偶者控除・配偶者特別控除が以下のように改定されました。

・『世帯主の年収が1,120万円以下』かつ『配偶者の年収が103万円以下』
→満額(38万円)での配偶者控除を受けられる

・『世帯主の年収が1,120万円以下』かつ『配偶者の年収が103~150万円以下』
→満額(38万円)での配偶者特別控除を受けられる

・『世帯主の年収が1,120~1,220万円以下』かつ『配偶者の年収が150~201万円以下』
→それぞれの年収に応じて、減額された配偶者控除or配偶者特別控除が受けられる

このように、従来よりも控除を受けられる範囲が広がったことで「今までより長い時間働きたい」と申し出てくる従業員が増える可能性があるでしょう。

ただし、従業員の視点で考えてみると、以下の2点に注意が必要です。


所得税や社会保険に注意!

注意点1:年収130万円を超えると、社会保険の扶養対象外に

世帯主が会社員や公務員などの場合、年収130万円未満(60歳以上または障がい者は年収180万円未満)の配偶者は社会保険の被扶養者となることができます。
国民年金も第3号被保険者として加入できるため、健康保険・年金ともに保険料が免除されるのです。
しかし、収入が130万円を超えると配偶者の扶養から外れることになり、自身で健康保険や年金に加入しなければなりません。

なお、扶養家族の基準は“年収130万円未満”ですが、社会保険への加入基準は基準が異なります(具体的には、以下の(1)もしくは(2)に該当する場合)。

(1)1週間の所定労働時間および1ヵ月の処置労働日数が、同事業所で働く正社員の4分の3以上
(2)以下の要件をすべて満たす場合
 ・週の所定労働時間が20時間以上
 ・勤務期間が1年以上、またはその見込みがある
 ・月額賃金が8.8万円以上
 ・学生以外
 ・従業員数501人以上の会社に勤務している

自社の労働者が社会保険の加入要件を満たしているのか否かについては、年収と労働時間などを管理し、把握しておくようにしましょう。

注意点2:年収103万円を超えると、所得税がかかる

配偶者の年収が103万円を超えると、従来通り、配偶者自身に所得税が課税されます。


人材の充足に期待が高まる!

今回の改正が介護業界に与えるメリットとしては、人材の確保が考えられます。
特に毎年、秋~年末にかけて年収103万円に収まるよう労働時間を調整していた従業員が多かった事業所では、ほかの従業員への負担軽減が期待されているようです。

しかし、人材確保の可能性が高まる一方、会社にとっては“社会保険料負担によるコスト増大”などのデメリットも考えられます。

貴重な戦力となる短時間労働者にどのような働き方をしてもらうのか、人員の配置計画を再度見直してみてはいかがでしょうか。



介護事業最前線

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