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規制緩和は集患のチャンス

14.06.08 |

新患の獲得は言うまでもなく
クリニック運営の要になります。
いくら最新の検査機器をそろえ、
大学病院なみの高度医療が受けられることを
誇っても、肝心の患者さんが来なければ、
そのコストはたちまち赤字に転じてしまいます。

また、一旦定着した患者さんにも、
「新陳代謝」があることを忘れるわけにはいきません。

選ばれるクリニックへのナビゲーション

高齢の患者さんは施設や療養型病床に入院してしまい、
がんや重症疾患にかかった患者さんはそれを機会に
全ての診療を大病院でまとめて受けるようになり、
メタボで通院する男性は
「近くに若い女医さんの診療所が出来た♪」
と移ってしまう。

患者さんとは、人間の身体の細胞と同じように
新陳代謝することを前提に対策を講じる必要があります。

もちろん対応可能なキャパシティはありますので
無限に増患はできませんが、循環開業当初はもちろん、
数年たって安定しているクリニックにとっても
集患対策は重要課題だと言えましょう。

前置きが長くなりましたが、去る3月31日に厚生労働省から
臨床検査技師法に基づく告示改正が公布されました。
血糖値などの自己採血検査は「医業に当たらない」ことが
明確化され、これまでの「衛生検査所」でなくても
実施できることになりました。

次いで4月10日には同省医政局より
「検体測定室に関するガイドライン」が発表され、
「医業に当たらない検体検査」を行う場の一定の基準と、
届け出制が敷かれました。「地域医療機関との連携等」の
必要性も記されており、測定の結果がどのようなものであろうと、
特定健康診査や健康診断の受診勧奨をせよ、というわけです。

これまでグレーゾーンにあった自己採血検査が法的に
きちんと位置付けられたことにより、いわゆる
「ワンコイン健診ビジネス」の増加が予想されています。
中でも、調剤薬局での実践は大いに可能性があると思います。

というのも、この規制緩和のきっかけとなったのは、
2010年よりモデルケースとして東京都足立区と
徳島県の薬局店舗で3000名の自己採血検査が行われた
「糖尿病診断アクセス革命事務局」(代表は筑波大学内分泌代謝・
糖尿病内科の矢作直也准教授)の成果によるものだからです。

同プロジェクトの3年半の実績によると、
薬局店頭で自己採血によるHbA1c測定を受けた3014名の
うち約3割(837名)に予備軍も含めた糖尿病が疑われ、
医療機関への受診が勧奨されています。

前述のガイドラインには「特定の医療機関への受診を
勧めてはいけない」という一文もありますが、
調剤薬局で受診を勧められた患者さんは、
まずは地の利から近隣のクリニックに行こうと
考えるのが自然でしょう。

「集患」と言っても、保険診療医はスーパーマーケットのような
露骨な宣伝はできませんが、調剤薬局を通じて
地域の生活習慣病の早期発見に貢献することが
結果的に集客につながるのであれば、
医療経営的なメリットも期待できるはず。

まずは、調剤薬局の意識喚起を図るべく、
薬剤師さんを対象に糖尿病ほか生活習慣病についての
勉強会をしないかと、声をかけてみてはいかがでしょう。

[プロフィール]
中保 裕子(なかほ・ゆうこ)
医療ライターとして全国のがん医療、地域医療の現場を中心に医療者、患者、家族へのインタビューを行うほか、新聞広告等での疾患啓発広告制作、製薬企業等のマーケティング調査の実績も多い。有限会社ウエル・ビー 代表取締役。 
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自主運営サイト「女性のための乳がん情報サイトCandle Room
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