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友人知人間でのお金の貸し借り、返してもらえなければ裁判も

17.10.27 |

友人や知人に「ちょっとお金を貸してくれないか。必ず返すから。」などとお願いされて、断れる人はなかなかいないのではないでしょうか。
実際、「友人が貸したお金を返してくれない」とお悩みの方は、老若男女問わず多いようです。

知らない間柄ではない関係ということもあり、借用書もなく口約束で貸し借りするケースがほとんどでしょう。
また、貸した金額が弁護士に相談して取り返すには、かかる費用を考えると割に合わない額の場合が多いので、散々嫌な気持ちで過ごしながらも、泣き寝入りする人もいらっしゃるかもしれません。

「貸したのではない、あげたものと思おう!」などとあきらめる前に、ご自身で手続きをする「少額訴訟」を検討してみてはいかがでしょうか。

「少額訴訟」とは、簡易裁判所で行う特別な民事訴訟手続のことです。 

訴額(支払いを求める金額)が60万円以下の金銭の場合にしか利用できないなど、一定の条件がありますが、通常の民事訴訟とは異なるメリットがあります。
詳しく見ていきましょう。 

■原則1回の期日で判決が出て費用が安い 
少額訴訟でもっとも大きいメリットが、迅速に判決を得られることです。 
通常の民事訴訟では、第1回、第2回、第3回…と何回も期日を重ねる必要があるうえ、「期日」と「期日」は間に1ヵ月程度準備期間を設けるため、判決までに10ヵ月以上かかるのが一般的です。 
しかし、少額訴訟では、1回の期日で双方が主張・立証を尽くし(民事訴訟法370条1項)、裁判所も直ちに判決を出すのが原則(同法374条1項)となっています。 
また弁護士に依頼する必要がないので弁護士費用がかからず、訴訟費用も安いのが特徴です。 

■控訴ができない 
通常の民事訴訟では、判決に不服があると、控訴審(地方裁判所又は高等裁判所)に控訴することができます。
控訴されると、次の裁判所で審理となり、判決が出るのを待つ必要があります。
また、控訴審の判決に対しては、上告することもできます。 
しかし、少額訴訟では、控訴はできません(同法377条)。
そのため、迅速に判決が確定することになります。 

■裁判所が比較的近い 
地方裁判所は支部を合わせて全国に203ヵ所ありますが、簡易裁判所は438ヵ所と数多く、アクセスが容易です。 
たとえば、東京では地方裁判所は東京地方裁判所(霞が関)と立川支部(立川市)の2ヵ所ですが、簡易裁判所は東京簡易裁判所(霞が関)をはじめ、伊豆大島、八丈島、新島、八王子市、立川市、武蔵野市、青梅市、町田市の9ヵ所にあります。 
ちなみに訴えを起こす裁判所は、原則として、相手方の住所地を管轄する簡易裁判所になります。 

■定型書式が充実している 
少額訴訟は、「利用しやすく、わかりやすい」司法を目指して導入された制度です。 
そのため、法律の専門家以外の人が利用しやすいよう、裁判所のホームページには訴状の類型ごとに定型書式があり、空欄を埋めることで訴状を作成することができます。 


少額訴訟の注意点としては、1回の期日で審理を完了し判決を出す手続きとなるため、事前に自分の言い分を裁判所に提出し、証人、証拠書類を準備する必要があり、また準備する証拠についても期日にその場で取り調べることができるものに限られることです。 

もうひとつ、被告人が、少額訴訟を拒否し通常訴訟に移行させることができるので、必ずしも少額訴訟で解決できるわけではないことです。 

このような点を考慮し、万策を尽くして少額訴訟を利用できれば、あきらめていた債権を自分の力で回収することができるかもしれません。 

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