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破産手続の際、ローン返済中の自動車はどうすればいい?

17.12.15 |

破産手続をする際、まだローンを返済中の自動車はどうすればよいのでしょうか?

多くの場合は、ローン会社に所有権が留保されていますが、自動車の名義によって破産手続における扱いが異なります。
名義を確認せず自動車の引き揚げに応じてしまうと、偏頗弁済(へんぱべんさい)とみなされたり、場合によっては免責不許可となることも考えられるので注意が必要です。

【登録名義がローン会社の場合】 

自動車を購入する際、ローン会社が販売店に購入代金を立替払いし、購入者がローンを完済するまでは自動車の所有権がローン会社に留保されるという契約がよくあります。 

契約時に、所有者名義がローン会社に変更されている場合は、ローン会社に破産法上別除権の行使が認められるため、ローン会社は破産手続きとは別に自動車を引き揚げて売却し、売却代金をローン残額に充てることができます。 


【登録名義が販売店の場合】 

一方、契約内容は同じでも、契約時に自動車の所有者名義をローン会社に変更せず、販売店のままにしているケースがあります。 

個人再生手続における所有権留保について判示した平成22年6月4日最高裁判例(民集 第64巻4号1107頁)によると、『再生手続開始決定時点で当該自動車につき自己を所有者とする登録がなされていない限り、留保所有権を別除権として行使することは許されない』とされており、これは破産手続でも同様であると考えられています。 

そのため、登録名義が販売店のままになっている場合は、ローン会社に別除権の行使は認められません。 
したがって、自動車は破産手続の中で換価され、各債権者への配当に充てられます。 


偏頗弁済とは? 

前述の通り、所有者がローン会社の場合と販売店の場合では、破産手続における扱いが異なります。 

しかし、ローン会社から自動車引き揚げの要請があった際、車検証に記載された所有者を確認せず、購入者が引き揚げに応じてしまうことがあります。 

所有者が販売店であるにもかかわらず、ローン会社からの引き揚げ要請に応じてしまうと、偏頗弁済とみなされて自動車の価値に相当する金額を破産財団に組み入れられたり、場合によっては免責不許可となることもあり得ます。 

偏頗弁済とは、ある特定の債権者にのみ、返済をする行為をいいます。 
この行為は、自己破産のときに財産を債権者に対して按分して配分する『債権者平等の原則に反する行為とされています。 
そのため、自己破産の申し立てをしたとしても、裁判所から免責許可の申し立てが認められないこと(免責不許可)があるのです。 

引き揚げ要請があった際には、自動車購入時の契約内容や、車検証上の登録名義をよく確認し、十分注意して対応しましょう。

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