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主婦も休業損害をもらえるのか?

18.08.07 |

交通事故による怪我で被害者に減収がある場合、当該減収を加害者が賠償しなければなりません。この賠償の対象となる損害を『休業損害』といいます。一番分かりやすい例は、サラリーマンが交通事故で怪我をして1か月入院した場合、1か月分の給料相当額の休業損害を賠償してもらうというものでしょう。 
しかし主婦は、交通事故で怪我をしたとしても、具体的な減収がありません。具体的な減収がない場合は、休業損害を賠償してもらえないのでしょうか?

主婦も休業損害をもらえる

主婦も怪我をすれば家事に支障が出ますし、一緒に住んでいる家族にも影響があります。本来、主婦が行っている家事を誰かが代わりにやらなければなりません。
にもかかわらず、具体的な減収がないということだけで休業損害を賠償してもらえないというのは不公平です。
そのため、交通事故の賠償実務上も、主婦の休業損害が認められています。


主婦の休業損害はどう算定されるのか

主婦には具体的な減収がありません。そのため、主婦の休業損害を算定するためには基準が必要です。実務上は厚生労働省が発表している賃金センサスのうち、全女性の平均額を基準とします(概ね1日の休業損害が1万円前後となります)。


主婦の休業損害をもらうための要件は何か

生活している人は誰しも家事をします。仮に無職であったとしても、毎日自分のための家事はするでしょう。では、無職で自分のためだけに家事をしている人も主婦の休業損害をもらうことができるのでしょうか?

無職且つ自分のためだけに家事をしている人でも、交通事故に遭ったことによって休業損害をもらえるのであれば、それもまた不公平となるので、主婦と無職者とは区別をしなければなりません。
実務上は、誰か他の人のために家事をしている人を主婦として扱っています。例えば、夫や妻のために家事をしている主婦や主夫、子どものために家事をしている主婦や主夫ということになります。


パートをしている主婦の休業損害はどうなるのか

主婦の方の中にはパートをしている人もいると思います。そして、交通事故で怪我をした場合、パートにも家事にも支障が出ます。そのような場合には、休業損害はどのように算出されるのでしょうか?
パートの休業損害と主婦の休業損害の合算額を賠償してもらえるのでしょうか? それとも、いずれか一方のみ賠償してもらえるということになるのでしょうか?

実務上は、パートの休業損害と主婦としての休業損害のいずれか損害の大きい金額を賠償してもらうことになります。実際には、主婦の休業損害の金額が大きい場合が多いです。この場合、一見パートをしている主婦は、交通事故に遭って怪我をしたことによって手に入る金銭が多くなるように見えますが、家事にも支障が出ていますし、家事労働にはそれだけの金銭的価値があるということだと思います。


最後に

主婦も含めてですが、交通事故による怪我によって減収がないように見える人でも休業損害を賠償してもらえることがあります。そのような場合でも、ご自身で判断せず専門家にご相談いただくことをおすすめします。

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