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ベランダでの喫煙は不法行為!? 近隣トラブルを避けるためには?

18.07.19 |

路上喫煙防止条例が各地方公共団体で制定されて久しいですが、最近では受動喫煙防止を目的とするタバコ規制も強化され、街中や職場でも喫煙スペースの撤去などがさらに進んでいます。喫煙者の中には、「自宅のベランダが、唯一誰の目も気にせずタバコを吸える場所!」と考える人も少なくないと思われますが、近年は、自宅のベランダでタバコを吸うことも不法行為となる時代です。

今回は、ベランダでの喫煙がなぜ不法行為にあたるのか、実例を交えてご紹介します。

ベランダでの喫煙は誰にどのような影響を及ぼすのか?

例えば、集合住宅で、隣家や階下の居住者がマンションのベランダでタバコを吸うことで、その煙や臭いが周囲の居住者の生活空間に流入し、「窓を開けることができない」「体調が悪くなる」といったトラブルがあります。

では、ベランダでの喫煙は、具体的に誰のどのような権利または利益を侵害するのでしょうか?

たばこの規制に関する世界保健機関枠組条約(FCTC)では、「タバコの煙にさらされることが、死亡、疾病及び障害を引き起こすことが科学的証拠により明白に証明されている」と提示。国立がんセンターも、「受動喫煙による肺がんリスクは科学的に明確に立証されている」との見解を示しているように、受動喫煙の保護法益は、受動喫煙者の生命及び健康です。このようにベランダでの喫煙は、周辺居住者の生命や健康といった権利または利益を侵害することになるのです。


不法行為だと認められた裁判例

実際、Aさんの真下に居住するBさんが、ベランダで継続的に喫煙をしたため、Aさんの居室内にタバコ煙が流れ込み、体調が悪化したとして、AさんがBさんに対し不法行為に基づく損害賠償を請求した、という裁判例があります。裁判所は、「タバコ煙が、喫煙者のみならず、その周辺で煙を吸い込む者の健康にも悪影響を及ぼすおそれのあることは公知の事実である」とした上で、「ベランダでの喫煙でも、他の居住者に著しい不利益を与えていることを知りながら喫煙を継続し、何らこれを防止する措置を講じない場合は、喫煙が不法行為となりうる」と判断したのです。実際、Aさんの請求は一部認められており、この裁判は、喫煙が不法行為となることを認めた判決としてニュースでも報道されました。


喫煙による近隣トラブルを避けるために

近隣住宅の受動喫煙トラブルは、人が最も安心して生活する居住空間への有害物質の継続的な流入であることから、被害意識が高いといわれています。一方で、喫煙者としては、自己の専有・専用空間での喫煙であるため、喫煙の自由を強く主張したい場面でもあります。
とはいえ、ご近所に住む者同士、なるべく円満に解決したいものです。Aさんとしては、まずはベランダでの喫煙を止めてもらうように手紙を出してみたり、管理組合を活用してトラブルを予防することが考えられます。Bさんとしても、タバコは喫煙者のみならず、受動喫煙者の健康に大きな影響を及ぼすものであると再認識した上で行動することが大切だといえます。

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