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万が一、破産しなくてはならなくなったら……相続財産はどう扱う?

18.04.10 |

借金が重なって返済が困難になり、破産を検討しなければならなくなったとき、破産を検討している方が遺産分割の終わっていない相続財産を有している場合があります。 
あるいは、破産手続きに向けて準備を進めているなかで、ご家族が亡くなり、相続が発生する場合もあります。 

このような場合、破産手続のなかで相続財産はどのように扱われるのでしょうか?

遺産分割が終わっていない 
相続財産がある場合 

相続財産も、破産手続き上は破産財団を構成する他の財産と同じ扱いになるので、債権者への配当に充てなければなりません。 

そのため、破産者の相続割合に応じた財産は手放すことになりますが、親の住んでいる自宅などは手放すことが難しい場合も多く、対応に苦慮することがあるでしょう。 
このようなとき、破産者の取り分をゼロにして遺産分割協議をしてしまう場合がありますが、これはおすすめできません。
すでに債務の支払いが不能となってから行われた遺産分割協議は、破産管財人による否認権行使の対象となり得るためです。 

簡単にいえば、遺産分割協議がなかったことになってしまい、無意味になってしまうのです。 
そのため、慌てて遺産分割協議をするのではなく、親戚などの協力を得て、破産者の相続割合に応じた金額を破産財団に組み入れることを検討する必要があります。 


破産準備中に 
相続が開始された場合 

一方、破産手続きの準備をしているタイミングで身内が亡くなり、相続が開始される場合もあり得るでしょう。
この場合、相続財産を手放す方法として『相続放棄』があります。 

遺産分割協議で自分の取り分をゼロにすることと、相続放棄をすることは一見同じことのように感じますが、実は大きな違いがあるのです。 

遺産分割協議は、“誰にどの財産を分けるかという、財産権を目的とする法律行為”です。 
一方、相続放棄は、“相続人としての身分を最初からなかったことにする身分行為”とされています。 

このことから、相続放棄の場合は、破産管財人の否認権行使の対象とはならないとされているのです。 

相続放棄は、自身のために相続の開始があったことを知ったときから3か月以内に行わなければなりません。 
破産のことだけを考えて決断できるものではないとは思いますが、一つの方法として覚えておかれることをおすすめします。 

破産や相続について、ご不明点があれば専門家へご相談ください。 

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