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クリニックでがんを治す

14.12.07 |

乳がんにかかった友人のMさんが、いま化学療法を受けています。
仕事を続けながら治療をしたい彼女が選択したのは、自宅からほど近い場所にある乳腺外科専門クリニックでした。
普段の受診、化学療法はそのクリニックで受け、MRIやCTなどの検査は提携病院、手術も院長が提携している大病院で院長自身が行う、オープン診療の方式です。
主治医は、大病院の乳腺外科での勤務の後、開業したとのこと。

選ばれるクリニックへのナビゲーション

大企業の管理職にあるMさんは、主要な検査と化学療法の導入を集中的にこなし、2回目の投与が終わってから、何食わぬ顔で会社に復帰。
その間、わずか10日ばかり。
その後は新調したかつらを「素敵!」「似合ってる!」と後輩社員たちにほめられつつ、ときどき通院のために遅刻、欠勤しながら仕事を続けています。

Mさんのスピーディーな職場復帰、仕事とがん治療の両立を実現させたのは、クリニックを選択したことが大きかったように思えます。
多くのがん患者で混雑する大病院では、毎回の長い待ち時間に患者も家族も消耗します。
会社もそのつど欠勤しなければなりません。
その点、予約制のクリニックでは診察の待ち時間が少なく、「何かあればいつでも相談できる」という安心感のなかで、普段と変わらない生活とがん治療を両立させています。
現在の日本のがん医療の状況を思えば、そのようなクリニックがたまたま住まいの近くにあることは、うらやましい限りです。

ご存じの通り、昨今のがんの治療成績の向上はめざましく、全部位の平均5年生存率は男性55.4、女性62.9%。
なかでも、Mさんのかかった「乳がん」の5年生存率は89.1%*と、十分完治が望めるレベルにあります。

がんが「不治の病」から「治せる病気」になった今、患者は治療後もまだまだ長い人生を歩んで行かなければならず、そのためには収入も確保しなければなりません。
会社を休業せずに治療できるかどうかは大きな問題でしょう。
まして、契約社員や派遣社員などの正規雇用以外の人が中高年に突入したら、それこそがんとは別の「死活問題」になります。

がん治療と社会生活の両立―――この意味で今後クリニックが果たす役割は大きくなると思うのです。

*【出典】部位別がん5年相対生存率(2003~2005年)独立行政法人国立がん研究センター がん対策情報センター


[プロフィール]
中保 裕子(なかほ・ゆうこ)
医療ライターとして全国のがん医療、地域医療の現場を中心に医療者、患者、家族へのインタビューを行うほか、新聞広告等での疾患啓発広告制作、製薬企業等のマーケティング調査の実績も多い。有限会社ウエル・ビー 代表取締役。 
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