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『過払い金』とその請求方法

23.03.06 |

『過払い金請求』という言葉を聞くようになって、すでに10年以上が経過しています。
しかし、『過払い金請求』の具体的な内容について理解している人は少ないのではないでしょうか。
今回は、過払い金とその請求方法について解説します。

過払い金とは? グレーゾーン金利について

消費者金融やクレジット会社は、かつて『グレーゾーン金利』と呼ばれる、民法上の法定利息を超えてはいるものの刑事罰は課されない高利で貸し付けを行っていました。
しかし、平成18年に貸金業法が改正された際にグレーゾーン金利は撤廃され、それ以降に交わされた契約については、法定利息が適用されることとなりました。
一方、それ以前の古い契約のまま取引を続けている場合には、未だに高い利息を支払い続けているケースもあります。

債務者が法定利息を超えて返済していた利息部分は、消費者金融やクレジット会社にとって法律上の原因に基づかない不当利得となります。
これを『過払い金』と呼び、業者に対して払いすぎた利息の返還を請求することができます。
なお、業者に対して過払い金を請求する場合には、過払い金そのものに利息を付加して請求するのが一般的です。


過払い金請求は専門的な判断が必要なことも

過払い金を請求するためには、まず、過去の取引履歴を取引があった各業者から取り寄せる必要があります。
各業者が保管している取引履歴は、業者ごとに書式が異なっており、これを見ただけでは、実際に過払い金があるのか、あるとしたらいくらあるのかはわからないことがほとんどです。
そこで、過払い金を請求する前提として、『引き直し計算』といわれる作業が必要になります。

『引き直し計算』といっても、単に計算式に当てはめれば答えが出るようなものではなく、業者から取り寄せた取引履歴のデータを基に、契約当初から法廷利息で取引をしていたと仮定し、取引履歴を始めからつくり直すようなイメージで、かなり骨の折れる作業です。
しかし、この『引き直し計算』をすることで、取引開始当初から法定利息で取引をしていた場合、いつから過払いになっていたのか、最終的に過払い金はいくらになるのかなどが明らかになります。

過払い金がいくらになっているかが判明したら、次は業者に対して、過払い金の支払いを求めます。
業者が「過払い金の全額を直ちに支払う」と回答することは、まずありません。

そのため、業者との交渉が必要になりますが、任意の交渉では回収できる金額は低額に留まる傾向にあります。
そのため、最終的には訴訟を提起せざるを得ないケースもあります。

過払い金請求訴訟は、簡単な訴訟のようなイメージを持たれている人が多いかもしれません。
しかし、実際には多くの法的な論点を含んでいるため、争点が多いケースでは、裁判所の判断によっては訴訟をしたことによってかえって支払われる過払い金が減ってしまう場合もあります。
そのため、任意の交渉で和解をするのか、訴訟まで争うのかは慎重に判断することが重要です。

過払い金はあるのか、あったとして業者と任意の交渉段階で和解をすべきなのか、訴訟を提起して争うべきなのかなどは、個人で判断することは難しいのが実情です。
また、過払い金請求には時効があり、時効を過ぎてしまえば、過払い金が発生していても回収することができなくなってしまいます

法定利息を超える利息での取引に心当たりのある場合は、専門家にも相談のうえ、早めに対応するようにしましょう。

 
※本記事の記載内容は、2023年3月現在の法令・情報等に基づいています。

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