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「がん緩和ケア」というチャンス

15.01.11 |

高齢化が進む日本のなかで、今後、地域医療の果たす役割はますます重要になると思われます。
昨今のがん関連学会では、「高齢者のがん」が話題になることも多くなりました。

これまでのような高齢者医療=循環器疾患や認知症だけでなく、がんの予後や終末期、そしてサルコペニアなど女性に多いロコモティブシンドロームによる要介護状態など、多彩な医療ニーズが地域のクリニックに望まれる時代になってまいります。

選ばれるクリニックへのナビゲーション

ちょうど1年前、厚生労働省から、全国で51ヶ所(平成25年8月現在)指定されている「都道府県がん診療連携拠点病院」に対し、「平成28年3月までに緩和ケアセンターを整備すること」という通知*が出されました。
あと約1年以内に、入院中のがん患者の緩和ケアに対応できる医療チームを養成するだけでなく、緩和ケア外来と緩和ケア病棟を整備することが義務付けられたわけです。

在宅療養支援診療所として機能しているクリニックから見れば、がん治療後、在宅で緩和ケアを受ける患者さんの症状が悪化し、入院が必要になった場合、受け入れ先として都道府県がん診療連携拠点病院が利用できることになります。
前出の通知によれば、地域の病院や在宅療養支援診療所とも「カンファレンスを月1回程度定期的に開催すること」とされています。
緩和ケアにいまひとつ踏み込めなかった地域の医師にも、高度ながん治療施設の専門医のノウハウを学べるまたとないチャンスになるわけです。
これを「忙しいのに、面倒だ」と考えるか、チャンスと考えるかはまさに医師次第です。

さらに、都道府県がん診療連携拠点病院の指定要件として、地域連携クリティカルパスの活用や地域の医療機関との紹介・逆紹介の実績などを相互に公開することが求められました。
がん治療そのものは専門病院に任せ、がん治療後、あるいは治療中の「緩和ケア」を地域で担う。
今後がん患者は増加が予測されますので、誤解を恐れずに言えば、クリニックにとってのビジネスチャンスと言えるのではないでしょうか。

*【出典】平成26年1月10日厚生労働省健康局長通知「がん診療連携拠点病院等の整備について」



[プロフィール]
中保 裕子(なかほ・ゆうこ)
医療ライターとして全国のがん医療、地域医療の現場を中心に医療者、患者、家族へのインタビューを行うほか、新聞広告等での疾患啓発広告制作、製薬企業等のマーケティング調査の実績も多い。有限会社ウエル・ビー 代表取締役。 
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