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サロンを経営するうえで知っておきたい! 経費計上の判断基準とは

23.06.06 |

美容サロン経営で、避けて通れないのが税金の支払いです。
個人事業主であれば所得税や住民税、法人であれば法人税や法人県民税、法人市民税などの税が課されます。
これらの課税対象になる所得のことを『課税所得』と呼び、個人事業主の場合、課税所得は『総収入金額』から必要経費や各控除額を差し引くことで求められます。
必要経費とは、収入を得るために必要とした費用のことで、仕入等の売上原価やその他の販売費、一般管理費(経費)のことを指しますが、必要経費として計上するためには、必要経費にできるものを正しく理解しておかなければなりません。
今回は、テナントの家賃からシャンプー代まで、個人事業主のサロン経営の経費として認められる範囲について解説します。

経費として計上できるものの判断基準

そもそも、なぜ物品購入などを経費として計上する必要があるのでしょうか。
それは経費を収入から差し引くことで所得を低く抑え、課税所得を抑えることができるからです。
そのため光熱費や通信費から、ちょっとした文房具の購入代金まで、できるだけ多くのものを経費として計上しようとする人が多いといえます。

では、サロン経営を行ううえで、経費として認められるのは、どういったものなのでしょうか。
原則として、経営に必要な費用はすべて経費として認められます。
つまり、プライベートで購入した物の代金は経費として認められません。

たとえば、ヘアサロンで使用するハサミやクシ、ブラシやヘアアイロン、シャンプーやトリートメント、パーマ剤などは『消耗品費』、もしくは『材料費』の勘定科目で経費計上が可能です。
なお、勘定科目とは、日々の取引を仕訳し、帳簿に記入する際に使用される項目の総称のことで、消耗品費や材料費のほかにもさまざまな種類があります。

サロン経営で認められる主な経費と勘定科目は次の通りです。

・地代家賃、水道光熱費
サロンを経営するために、店舗を借りている場合はその家賃は地代家賃となります。またサロン経営で発生する水道代や、ガス代、電気代などは水道光熱費となります。
・広告宣伝費
集客を目的にサロンのホームページやチラシを作成した費用や、美容予約サイトの利用料、クーポンの配布やキャンペーンの実施にかかる費用などになります。
・旅費交通費、研修費
スキルアップのために、セミナーや研修などに参加する場合は、セミナーや研修にかかる費用は研修費となります。また、その移動にかかった交通費や宿泊費については旅費交通費となります。

このほかにも『人件費』『通信費』『雑費』など、さまざまな勘定科目で経費計上が可能です。


家事按分に注意! 経費を理解し予測を立てる

サロン経営で必要な経費は大きく『変動費』と『固定費』の2つに分けられます。
消耗品費や材料費など、月ごとに変動する費用のことを変動費といい、変動費は売上に比例して増減するのが一般的です。
そのためサロンの経営を続けていくうちに、毎月の概算が出せるようになります。
変動費支出を把握しておけば、利益が少ない月にどの経費を削ればいいのか計画を立てやすくなり、経営の安定化につなげることができます。

固定費とは、家賃や人件費など毎月決まった額が出ていく経費のことです。
固定費は予測が立てやすいものの、削減するのがむずかしく、経費全体に占める割合も高くなりやすいため、開業時から慎重に考えなければなりません。
固定費のなかでも、多くの割合を占めるのがテナント費、いわゆる家賃です。
サロンの多くはテナントを借りて経営を行っており、毎月決まった額の家賃を支払っています。
店舗の家賃はすべて『地代家賃』として経費計上できます。
しかし、自宅の一部をサロンとして活用している自宅兼サロンの場合、すべての家賃を経費として計上することはできません。
この場合は、『家事按分』といって、自宅スペースと店舗スペースを分けたうえで、サロン経営に使用している割合を出し、経費として計上できる額を計算します。

家事按分の割合は、使用時間や使用面積などから算出します。
たとえば、自宅とサロンの使用時間も、使用面積もちょうど半々の場合は、家賃の50%を経費として計上できることになります。
このほかにも、水道代やガス代、電気代、通信費なども自宅とサロンが共用の場合はすべての費用を経費として計上することはできません。
家賃と同様に家事按分の割り出しを行って計上する必要があります。

このほか、スタッフの給与や賞与などの『人件費』、トラブルに備えて加入している保険の『保険料』なども固定費に含まれます。
サロンで使用するカットチェアやシャンプー台、鏡や給湯器、パソコンなどの設備は、『設備費または消耗品費』として計上されます。
備品等の固定資産を購入した場合、固定資産に計上したうえで、『減価償却費』として費用化していくのが一般的です。
よって、一つ10万円以上の備品に関しては、原則として、固定資産に計上したうえで、償却期間に応じた『減価償却』で徐々に経費化していく必要があることを覚えておきましょう。

経費に計上できる物や勘定科目などは使用状況などによっても判断が分かれることがあるため、不明な点があれば、税務署や税理士に相談しながら仕訳を行っていくことをおすすめします。


※本記事の記載内容は、2023年6月現在の法令・情報等に基づいています。

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