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自転車の交通違反に『青切符』! どんな違反が対象になる?

24.03.26 |

自転車は普段の買い物から通勤・通学まで、日常生活に欠かせない移動手段の一つです。
しかし、車やバイクなどとは異なり、運転免許がなくても運転できることから、信号無視や踏切の立ち入りなどの違反行為が後を絶たず、自転車対歩行者事故件数や自転車による法例違反の取締り件数は増加傾向にあります。
これを受け、警察庁では交通ルールに違反する運転を行なった自転車の運転者に対し、『青切符』を交付する反則金制度を導入する方針を固めました。
青切符を導入した背景や、該当する違反行為などについて解説します。

自転車に関連する交通事故と法令違反の現状

自転車に関連する交通事故の発生件数が増加傾向にあります。
警察庁によれば、2022年の自転車関連事故の件数は6万9,985件で前年より291件増加し、これまで減少傾向だった自転車関連事故の件数は、2020年を境に微増傾向にあります。
また、全交通事故に占める自転車の交通事故の割合も18.2%だった2016年以降、増加傾向にあり、2022年は23.3%を記録しています。
さらに、自転車が当事者となった死亡・重傷事故の約4分の3が、自転車側に何らかの法令違反があったこともわかりました。

自転車は道路交通法では軽車両に該当するため、車やバイクなどと同様に、運転者には交通ルールの遵守や交通マナーの実践が求められます。
しかし、免許不要で誰でも運転できることから、交通ルールを守らずに自転車を運転する人も少なくありません。

こうした自転車関連事故の増加を背景に、警察庁では自転車にも車やバイクと同じく、『青切符』を交付して反則金を科す制度を導入する方針を固めました。
自転車の交通違反に対しては、これまでも取締りが行われ、悪質なものには罰則も定められていました。
今回の青切符の導入によって、今以上に自転車の取締りが強化されることになります。

現在の自転車交通違反の取締り方法

これまで自転車の交通違反の取締りは、刑事処分の対象となる『赤切符』と、軽微な違反に注意を促す『イエローカード』の交付がありましたが、新たに『青切符』が加わることになります。

赤切符とは『違反切符』のことで、たとえば、酒酔い運転や事故につながる『ながら運転』など、歩行者や車に対して具体的な危険を生じさせた際に交付されます。
赤切符が交付されると、刑事罰の対象として検察庁に送られます。
検察から起訴されて有罪になると罰金が科され、前科がつきます。
ただし、実際に起訴されても罰則が適用されるケースは少なく、2022年は自転車の赤切符による検挙件数は約2万5,000件にもなりましたが、このうちの数%しか起訴されていません。

また、イエローカードは『自転車指導警告カード』という黄色い用紙のことで、軽微な違反をした人に渡されますが、あくまで注意を促すためのものであり、罰則などはありません。

青切符による取締りの具体的な内容

この赤切符とイエローカードだけでは、交通違反を抑止する実効性に課題があるため、青切符による取締りが導入されようとしています。

青切符の対象年齢は、基本的な自転車の交通ルールに関する最低限の知識があるとされる16歳以上の自転車運転者です。
対象となる違反行為は信号無視をはじめ、徐行をせずに歩道を通行すること、一時不停止、携帯電話を使用しながらの運転、右側通行、遮断機が下りている踏切への立ち入り、傘差し運転、イヤホンをつけたままの運転、ブレーキの利かない自転車の運転など、100種類以上にもなります。

ただし、これらの違反行為をしたからといって、すぐに青切符が交付されるわけではなく、現場で警察官の指導や警告に従わない場合に限って交付されます。
青切符の反則金は5,000円から1万2,000円程度とみられており、交付された場合は速やかに支払う必要があります。

また、現状の制度として、何度も自転車で信号無視などの危険行為を行うと『自転車運転者講習』を受けるように都道府県公安委員会から命令を受けることがあります。
自転車運転者講習とは、交通ルールを学ぶための3時間ほどの講習のことで、講習手数料は6,000円かかります。
もし、この命令を無視して講習を受けないでいると、5万円以下の罰金が科されます。

この自転車運転者講習制度と従来の赤切符、イエローカード、そして新たに加わる青切符での取締りによって、自転車関連交通事故の減少が期待されます。
青切符の導入に関しては、2024年の通常国会に道路交通法の改正案が提出される見込みです。
今後の動きを注視していきましょう。


※本記事の記載内容は、2024年3月現在の法令・情報等に基づいています。

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