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雇われる個人と経営者との力関係で決まる給与

13.12.15 |

給与を決めるのは経営者でしょうか。
給与は会社が決める、お仕着せのようなもの、
という通念があるかもしれませんが、
原則、雇われる個人と
雇い入れる会社側との力関係で決まるものです。

貴重な人材で会社にとって必要なら高く、
そうでなければそれなりに決まります。
そして、入社後も両者の力関係で改定されるものでしょう。

企業成長のための人的資源熟考

会社の人事の重要な仕事は、各人の働きぶりを評価して、
個人が納得いく報酬を保障しなければなりません。
これは、雇い入れのときだけでなく「常時」です。

人事の目標は、従業員が常にハッピーに働いてくれることでしょう。
そのためには、納得のいく給与を支払い続けることが重要です。
と言っていくらでも払えるわけではないですから、
何故この額なのかを説明できることが大切です。

日本の人事はともすると、
上から目線で一方的に決めることが多かったようです。
学卒初任給や春季賃金改定など、
他社と足並みをそろえていれば
個人の説得はあまり必要ではありませんでした。
生涯雇用を盾にして一方的に管理していればいい、
というようなラクなものでした。

今や、日本の産業や企業が音を立てて変わっています。
そのひとつに、大量生産から多様なサービス産業に変わり、
個人別の能力が問われる時代になった事実があります。
一人当たりの生産性が高くなると同時に、
つまり、その評価や報酬も個別化し、
納得のいかないことには説明を求める、
強い個人が増えています。

経営者や人事部門は、
常に従業員に対してドアを開けていつでも疑問を聞き、
要望を聞き、経営側の説明をして納得してもらうことが大切です。
そのためには、会社経営の見通し、
労働市場の動向、従業員の個人的事情などを
常に把握しておかなければならないでしょう。


[プロフィール]
佐野 陽子(さの・ようこ)
慶應義塾大学名誉教授。1972年慶應義塾大学商学部教授。87年から2年間、日本労務学会代表理事。89年から2年間、慶應義塾大学商学部長・大学院商学研究科委員長。96年東京国際大学商学部教授。2001年から4年間、嘉悦大学学長・経営経済学部教授。主な著書:『はじめての人的資源マネジメント』『企業内労働市場』(ともに有斐閣)。


[記事提供]

(運営:株式会社アックスコンサルティング)

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