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人前であがらずに、そして臨機応変に話すための「ビジネス会話術」その4

15.11.13 |

今回も引き続き、プレゼンや発表の時に焦らずあがらず、落ち着いて効果的に話すためのノウハウや心構えをご紹介していきます。 

今回のテーマは、「否定的な反応に“いや”と返さず、まずは“なるほど”と肯定的に受け止める」です。

厳しい質問やコメントが来ると、すぐに「いや」とか、「ですから」とか、「そうではなくて」などと、しかめつらで話し始める方が少なくありません。

身構えてしまい、とにもかくにも自分の提案や主張を通そうと肩ひじ張ると、最初に口に出るフレーズが「いや…」とか「ですから…」などの否定から入るフレーズになってしまいます。しかし、これは厳禁です。こちらがネガティブな反応を示すと、相手はさらにネガティブになっていくからです。 

まず、「ご指摘、ありがとうございます」や「なるほど」などの、肯定的な返答で始めることが必須です。 

たとえ、こちらの主張を否定するコメントに対してでも、「あなたの意見の意味合いは分かります」という意味で、「なるほど」と口にしましょう。「なるほど」は、魔法の言葉です。その後のやり取りを雰囲気の良いものにしていくことが、可能になります。 

自分が質問やコメントをする側にいると想像してみてください。少し気になったことがあったのでちょっと質問してみたら、いきなり「いや、そうではなくて」と、自分が疑問を持ったことそれ自体さえ、否定されたような受け答えをされたら、どうでしょう? 僕なら、さらにネガティブなポイントを探してしまいます。 

どんな意見に対してでも、ネガティブなポイントは探すことができます。完全無欠の意見なんて、この世には存在しません。なので、僕が質問者で、話者が「いや、そうではなく」といった態度で臨んできたら、話の流れ上、その提案自体を一生懸命に否定する方向に走る可能性も高くなります。 

そしてできれば、さらに発展させて考えて、僕が「一礼二頷三主張法」と呼んでいるやり方もやってみてください。

まずは「ありがとうございます」とコメントや質問にお礼を述べ(一礼)、次に相手の意見を受け入れる形ではっきりと頷き(二頷)、最後に、もともとのプレゼンでした主張を繰り返します(三主張)。一礼と二頷でコメントをした人と敵対することを避けつつも、プレゼンに込めた主張をブレずに繰り返しましょう。 

このときの主張は、最初にしたプレゼンの主張と同様である「べき」です。よく考えられた主張であれば、多少のネガティブ・ポイントがあったとしても、それを上回るポジティブな提案であるはずです。そう考えると、プレゼンや発表が終わった時点での質問やコメントで、簡単に主張を変えるべきではないのです。 

次回は『人前であがらずに、そして臨機応変に話すための「ビジネス会話術」その5』です。


佐藤達郎の今すぐ使える!マーケティング手法 


[プロフィール] 
佐藤 達郎(さとう・たつろう) 
多摩美術大学教授(広告論/マーケティング論)、コミュニケーション・ラボ代表。2004年カンヌ国際広告祭日本代表審査員。浦和高校、一橋大学、アサツーDK、(青学MBA)、博報堂DYを経て、2011年4月より現職。著書に、『NOをYESにする力!』『アイデアの選び方』『自分を広告する技術』『教えて!カンヌ国際広告祭』がある。 


[記事提供] 

(運営:株式会社アックスコンサルティング)

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