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介護事業所における労働時間管理のポイント

16.01.08 |

労働時間に関するトラブルは年々増加している傾向にあります。特に介護事業所については、業務形態や事業所の規模に合わせた労働時間の管理が重要なポイントとなります。

例えば、施設系の事業所では、施設内で業務を行っているため、比較的仕事の内容とその仕事にかかわる時間が見えてきます。一方、訪問介護などの訪問系の事業所では、ほとんどが利用者宅にいるか移動に費やしているため、労働時間を把握しにくい業務となります。 

また、施設系でも事業所の規模が大きくなるにつれて、個々のスタッフがどのように動いているか管理者が把握しにくくなります。 

労働時間については、「雇用契約書」や「就業規則」に定めなければならない重要な労働条件となります。このあたりを疎かにすると労使トラブルにつながる可能性が高くなるため、現状の業務内容を十分に理解した上で、管理方法を決めていかなければなりません。 

問題となりやすいのが、訪問介護スタッフの移動時間です。移動時間は「介護事業所」「集合場所」「利用者宅」の相互間を移動する時間であるため、事業者が業務に必要な移動を命じている場合、訪問介護スタッフの移動時間に対する自由な利用が保障されていない限り、労働時間にあたります。 

一方、自宅から直接「事業所」「集合場所」「利用者宅」へ往復する時間は通勤時間に該当するため、労働時間にはなりません。 

ほかにも、役職手当がついているというだけで、時間外労働に関する手当が支払われていないケースもあります。原則として労働時間に対する「指揮命令権」や採用・解雇などの「人事権」が委ねられている者でない限り、労働基準法における「管理監督者」には該当しないため、時間外労働に対する賃金の支払いが必要となります。 

その他、次のような労働時間管理のポイントがあります。現状を十分に把握した上で、事業所に最適な労働時間の管理方法を採用されてみてはいかがでしょう。 

<労働時間管理のチェックポイント> 

・雇用契約書や就業規則で所定労働時間を明確にしているか 

・始業時刻前に出社を要請している場合、時間外手当を支払っているか 

・タイムカードなど客観的な記録として残業時間の把握をできているか 

・時間外労働にかかわる手当は1分単位で支払われているか 

・労働時間に含まれる移動時間や待機時間を把握できているか 

・事業所が行う研修にかかわる時間について、労働時間として管理しているか 

・役職者というだけで時間外手当を除外していないか 

・36協定(時間外労働及び休日労働に係わる労使協定)を監督署へ提出しているか 

・1ヵ月単位または1年単位の変形労働時間制度を検討(導入)しているか 


介護事業最前線 


[記事提供] 

(運営:株式会社アックスコンサルティング)

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