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いま、シティプロモーションが熱い! 都道府県 / 市町村の広告・広報の現在。その3

16.04.01 |

前々回から、都道府県/市町村の広告・広報・マーケティングを指す「シティプロモーション」についてご紹介しています。

今回は、その中でも「オンライン動画」を中心に取り上げていきます。

2015年は多くのシティプロモーション系のオンライン動画が注目されましたが、その中でも最も話題になったものの一つが、宮崎県小林市の動画です。

フランスから来た主人公が小林市について語っていて、日本語の字幕が出ています。ところが、最後に“あっ”と驚く仕掛けがあって、ついついもう一度見てしまう、という内容です。

この動画は、「消費者が選ぶ広告コンクール」でも“経済産業大臣賞”を受賞。あまり知名度のない小林市からすると、この受賞だけでも大変なPRになります。

再生回数も180万回を誇っていますが、内容については、これ以上言及しないでおきます。「小林市 動画」で検索すればすぐに見られるので、ぜひ、ご自身で確かめてみてください。 

他にも、地方自治体のオンライン動画は、話題作が目白押し。

例えば、佐賀県温泉の「一緒に入ろう」。そこには視聴者を温泉に誘う美女の美しい裸体が…と思いきや、実は! といった内容です。こちらも、これ以上の内容紹介は控えておきます。

そして大分県の「おんせん県・シンフロ」は、さまざまな温泉地にシンクロ(シンクロナイズド・スイミング)の選手が現れて演技をするというもの。この動画も、120万回以上再生されています。 

最近では、武将の石田三成を題材にした滋賀県のオンライン動画が公開されたばかり。一般的に言って正直印象の薄い滋賀県を、「寝首をかく」などの刺激的なフレーズも使用して、強力にアピールしています。 

さて、それではなぜ、数あるマーケティング手法の中でも「オンライン動画」を施策として選ぶ自治体が多いのでしょうか。

いくつかの要因が考えられますが、第一には、基本「媒体費がかからない」ということが挙げられます。

テレビCMや新聞広告では、広告代理店を経由して、放送局や新聞社に多額の「媒体費」を支払う必要があります。しかし、オンライン動画は単に「ネットに上げるだけ」で済みます。

第二には、「広範な拡がりが期待できる」ことが挙げられます。ネットで見てもらうわけですから、内容さえ上手く作れれば、日本全国津々浦々、あるいは国外の人にも見てもらうことが可能です。

第三には、「相対的な制作費用の安さ」が挙げられます。テレビCMに比べると多くの秒数を費やすことができ、その割には予算が安くて済むのです。 

こういった背景から、シティプロモーションにおけるオンライン動画活用は、今後も続いていきそうです。そしてまた、ここで挙げた「オンライン動画を活用する理由」は、何も地方自治体に限ったことではありません。多くの「大企業以外の方」には、そのまま当てはまる内容ではないかと思います。 

次回は、移住者獲得や人口減への歯止めに関するシティプロモーションについて、ご紹介していきましょう。 

次回の「佐藤達郎のマーケティング論」は『いま、シティプロモーションが熱い! 都道府県/市町村の広告・広報の現在。その4』をお届けします。


佐藤達郎のマーケティング論 


[プロフィール] 
佐藤 達郎(さとう・たつろう) 
多摩美術大学教授(広告論/マーケティング論)、コミュニケーション・ラボ代表。2004年カンヌ国際広告祭日本代表審査員。浦和高校、一橋大学、アサツーDK、(青学MBA)、博報堂DYを経て、2011年4月より現職。著書に、『NOをYESにする力!』『アイデアの選び方』『自分を広告する技術』『教えて!カンヌ国際広告祭』がある。 

[記事提供] 

(運営:株式会社アックスコンサルティング)

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