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政府統計で読み解く歯科診療の現在(2)…訪問歯科診療

16.06.02 |

厚生労働省が昨年の11月に公表した統計資料に「平成26年医療施設(静態)調査」というものがあります。

この中にある「在宅医療サービスの実施状況」を見ると、訪問歯科診療を提供している診療所の数と、診療内容ごとの実施件数がわかります。 

この統計によると、平成26年9月の1ヵ月間で6万8,592施設ある歯科診療所のうち1万4,069施設(20.5%)が、少なくとも1件以上の訪問診療を実施しています。

20%の歯科診療所が訪問診療を行っていると考えると、十分に多いようにも思えます。実際にはどうなのか、見てみましょう。

<訪問歯科治療の需要> 

少し古くなりますが、厚生労働省の科学研究費補助金を受けて行われた長寿科学総合研究事業の中で、要介護者に対する歯科治療の必要性を表した数値があります。

それによると「口腔ケアが必要」15.2%、「歯科治療が必要」21.0%、「どちらも必要」53.3%となっており、要介護者の約9割は何らかの歯科治療が必要とされています。 

平成26年当時の要介護者数は、要介護認定者数597万7,837人となっています。このすべてが歯科診療所に通院できないというわけではなく、要介護1及び2の方は通院ができると仮定すると、通院できない要介護3~5の方は211万7,640人となります。

そのうち9割で歯科診療が必要とすると、訪問歯科診療の需要者数は約190万人となります。 

<訪問歯科治療の供給不足> 

残念ながら、医療施設(静態)調査からは、訪問歯科診療を受診した正確な人数を知ることはできません。

しかし、訪問診療(居宅)と訪問診療(施設)の実施件数(居宅9万8,824件、施設33万780件)がわかりますので、この2つの件数を足した42万9,604を受診人数として考えてみましょう。 

190万という需要に対して43万の供給。供給率約22.6%。 

この数字から見ると、歯科診療所のうち訪問歯科診療を実施している診療所が約2割という現状では、訪問歯科診療を必要としている人のうち約8割が受診することができない、とみることができます。 

当然この数字が正確な実数を表しているわけではありません。しかし、まだまだ訪問歯科の需要は高く、特に居宅に対する訪問歯科診療はまったく手つかずである、ということです。


クリニック経営、次の一手 


[プロフィール] 
フォーユーメディカル株式会社 アットベネフィット事業部(大城正和・町山卓)
同事業部では、医療・介護従事者のための福利厚生サービス「@Benefit」として、歯科医院スタッフにも大企業社員並みの福利厚生をさらに医療・介護分野だけの特別プログラムをプラスして提供しています。 
@Benefit(アットベネフィット)
営業スタッフは、医療介護福祉事業に特化した採用・求人から教育・評価までをサポートする人材戦略コンサルタントとしても活躍中。


[記事提供] 

(運営:株式会社アックスコンサルティング)

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