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“商品を自発的に推奨してくれるユーザー”を指す「ブランド・アドボケイツ」に、近年注目が集まっています

16.09.02 |

前回ご紹介したように、現在ではWOMマーケティング(クチコミ・マーケティング)がビジネスの欠かせない要素になっています。

そんな中で「ブランド・アドボケイツ(Brand Advocates)」という存在が、注目を集めています。

「ブランド・アドボケイツ」とは、聞き慣れないキーワードだと思いますが、“自発的に他人へ商品を推奨してくれるユーザー”を指します。

人々が自分と同じ立場にあるユーザーの意見を重視し始めたことにより、ソーシャルメディアが発達しました。そのため、クチコミの力が以前とは比べ物にならないほどパワーを持ってきています。

クチコミのパワーを活かすために「誰に向かってアプローチすれば良いのか?」という疑問が生まれ、「ブランド・アドボケイツ」に注目が集まりました。 

似た言い方で「ブランド・アンバサダー」という言葉も使われます。

ただ、アンバサダーは報酬と引き換えにブランドの宣伝役になる有名人などを指すケースが多く、「ブランド・アドボケイツ」とは少しニュアンスが違います。

「ブランド・アドボケイツ」は、報酬を得るためではなく、あくまでも自発的に、その商品やブランドが好きで、その良い体験を共有したいがために、他人に推奨する存在です。 

「ブランド・アドボケイツ」は、その商品やブランドのファンであることが前提ではありますが、ファンでも推奨してくれない人はアドボケイツとは言えません。

ロイヤルユーザーやヘビーユーザーも似ていますが、この2つは長年買ってくれる人やたくさん買ってくれる人であって、必ずしも推奨してくれるユーザーではないのです。 

また「インフルエンサー(ツイッターでフォロワーが多いなど影響力のある人)」は、自社商品を推奨してくれることもありますが、自社商品やブランドが好きとは限らないので、ライバル社の商品も推奨する可能性があります。

ですので、「ブランド・アドボケイツ」とは異なった存在なのです。 

アメリカでは、ウェブサイトやソーシャルメディア上で「ブランド・アドボケイツ」が自社製品を推奨しやすいような仕組みを作っています。

ブランドへの想いをさらに高めてもらうために、開発途中の製品を試しに使ってもらって意見を募り、製品に反映させるなど、ブランド・アドボケイツ活用への取り組みがさまざまになされています。 

では、「ブランド・アドボケイツ」は日本にも存在するのでしょうか?

ある広告代理店と協同し、3万人以上19カテゴリーで調査したところ、「そのブランドを必ず薦める」と答えた「ブランド・アドボケイツ」が、ビールカテゴリーでの20.8%を筆頭に、一定以上存在することが判明しました。 

また、例えば、5つの自動車ブランドでは、ブランドAが19.8%なのに対してブランドEでは7.8%と、ブランドごとにアドボケイツの割合が異なることも観察され、その活用がビジネスに影響を及ぼすこともうかがえました。 

例えば飲食業を経営している方の場合、自分のお店のファンであり、かつ推奨してくれる人を増やすようなことを考えたり、彼らがより推奨しやすいような施策を模索するべきなのです。

他のビジネスに携わっている方も、ぜひ、参考にしてみてください。 

次回の「佐藤達郎のマーケティング論」は『ブルーオーシャン戦略は、ビジネスはもちろん、人生にも暮らしにも参考になります』をお届けします。



佐藤達郎のマーケティング論 

[プロフィール] 
佐藤 達郎(さとう・たつろう) 
多摩美術大学教授(広告論/マーケティング論)、コミュニケーション・ラボ代表。2004年カンヌ国際広告祭日本代表審査員。浦和高校、一橋大学、アサツーDK、(青学MBA)、博報堂DYを経て、2011年4月より現職。著書に、『NOをYESにする力!』『アイデアの選び方』『自分を広告する技術』『教えて!カンヌ国際広告祭』がある。 


[記事提供] 

(運営:株式会社アックスコンサルティング)

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