- HOME
- ニュース六法
ニュース六法
-
- 16.09.13 | ニュース六法
- ワンセグ携帯とNHK受信料問題~支払い義務なし判決
本年8月26日に、埼玉県朝霞市議の男性が、ワンセグ付きの携帯電話を所有する人はNHK受信料の契約を結ぶ義務があるかどうかを争った訴訟の判決で、さいたま地裁が、契約義務がないとの判断を示し、受信料の支払い義務がないことを認めました。
この判決によると、放送法64条では「受信設備を設置した者は受信契約をしなければならない」と受信契約締結義務があるとしているが、ワンセグ付きの携帯電話の所持は、受信設備の設置をしたとはならないとの判断を示しました。
これまでのNHK受信料裁判の争点の大半は、そもそも、放送法64条の契約義務が、「契約自由の原則」を大きく修正して契約締結を強制している条文解釈を巡って、いつ、どのように受信契約が成立するのかということでした。今回は、そもそも、「受信設備も設置」に、ワンセグ付きの携帯電話の所持も入るのかという、極めて市民感覚からして「それはないでしょ」的な問題でした。
- 続きを読む
-
- 16.08.19 | ニュース六法
- 女子マネの甲子園グラウンド練習補助を大会関係者が制止
8月2日のスポーツ紙各紙が、全国高校野球選手権大会の甲子園練習が甲子園球場で行われた際に、大分の女子マネジャーがユニホームを着てグラウンドに立ち、大会関係者から制止される一幕があったと報じました。
デイリースポーツの記事によると、大会規定では危険防止のため、グラウンドに立つのは男子のみと明記されていて、甲子園練習も準じる形になるが、手引きには男女の明記がなかったため、部長が甲子園練習に練習補助員として参加させました。しかし、守備練習では慣れた手つきでノッカーへボールを渡し、約10分が経過した頃、大会関係者が気づいて制止に至ったとのことです。
この件は、「女性差別」「野球は時代遅れ」という批判が高野連に向けられるなどして話題になりました。さまざまな観点からの議論があるところですが、憲法の性差別禁止という視点からは、どのように考えたらいいでしょうか。これが例えばLGBTの場合だったら、どう判断すべきかなど、問題は複雑です。
- 続きを読む
-
- 16.07.13 | ニュース六法
- 認定司法書士は140万円を超えて代理できない~最高裁初判断
過払い金の対応などの債務整理で、いくらまでなら司法書士が受任して処理できるかが争われた訴訟の上告審判決で、最高裁第1小法廷(大谷直人裁判長)は6月27日に、「負債額が140万円を超える場合、司法書士は代理できない」との初判断を示しました。これは弁護士会側が行ってきた主張を認める内容でした。
司法書士法は、一定の資格を付与された「認定司法書士」に 「紛争の目的の価額」が140 万円を超えない民事に関する紛争について相談に応じ、裁判外の和解について代理する権限を与えています。この規定振りからしたら、最高裁判決は当然のことを示したように見えますが、実は長い間、この解釈を巡って弁護士会と司法書士会との間で論争になっていました。どうしてでしょうか。
- 続きを読む
-
- 16.06.15 | ニュース六法
- ザル法「政治資金規正法」
知事続投を懇願した舛添要一東京都知事は、一転して辞職願を提出しました。公私混同問題に対する世論の批判は厳しさを増し、2年前の知事選で支援を受けた自民、公明も不信任案を出すなどしたため、最後は自ら身を引く判断をしました。
噴出してきた舛添東京都知事の政治資金の使途を巡る問題は、毎日のようにメディアや都議会による追及が続き、やみそうにありませんでした。そのマスコミの様子は、いつものように、おぼれ始めた犬に対して一斉に石を投げるような様相で、大騒ぎするワイドショーで延々と流れる断罪合戦には、恐ろしさまで感じました。
冷静に考えたら、多額の現金授受が明らかになった都市再生機構(UR)と建設会社の補償交渉に関与した疑いで告発された甘利明衆院議員らの疑惑に比べて、今回の舛添知事の政治資金問題は、単に「せこい」だけの極めて小さな問題であったろうに、まるで世も末のようなコメンテーターの発言の垂れ流しは、もっと追求すべき大きな問題を隠してしまったように思えてなりません。
今回の騒動の中で、法的な視点で気になったのは、「政治資金規正法」のザル法さが、改めて浮き彫りになったことだと思います。現在の規定の内容では、国民の税金から支出される政治資金を、何に使用しても適当に言い逃れができるということからでした。それは、なぜでしょうか。この点を、「龍宮城スパホテル三日月」問題に焦点を絞って見てみます。このようなザル法は、今後、どうしていくべきなのでしょうか。- 続きを読む
-
- 16.05.18 | ニュース六法
- ろくでなし子判決は「ろくでもない」?
わいせつ物公然陳列、わいせつ電磁的記録等送信頒布など3つの罪に問われて、女性器をかたどった作品や3Dデータが、芸術か、「わいせつ」かが争われていた「ろくでなし子」被告の刑事裁判で、東京地裁(田辺三保子裁判長)は、5月9日に、わいせつ物公然陳列罪については無罪とし、他の罪は有罪とする判決を言い渡しました罰金40万円(求刑・罰金80万円)でした。弁護側は有罪部分の判決を不服として控訴しました。
起訴内容は、被告は2014年7月に、女性向けアダルトショップで、女性器をかたどった石膏をアート作品として陳列したほか、2013年10月から2014年5月にかけて、女性器を3Dスキャンしたデータをのべ11人にメールで送信したり、CD-Rに焼き付けて郵送したりしたとして、①わいせつ電磁的記録等送信頒布罪、②わいせつ電磁的記録媒体配布罪、③わいせつ物公然陳列罪で起訴されていました。弁護団は、判決後の記者会見で、「愛のコリーダ事件以来の一部無罪ではないか、30年ぶりの歴史的な判決」と評価しましたが、3Dデータがその精密性を理由に有罪とされたことについて、「性器そのものが露骨にうつっていれば有罪だという判断を脱し切れていない」と批判しました。どのような判決であったのでしょうか。
- 続きを読む
-
- 16.04.15 | ニュース六法
- パナマ文書
- "
パナマのモサック・フォンセカ法律事務所で大変なことが起こりました。ここはタックス・ヘイブン(Tax haven)で、依頼者のために企業設立などをしてきた法律事務所として世界的に有名でした。タックス・ヘイヴンとは、一定の課税が著しく軽減、ないしは完全に免除される国や地域のことです。今年の4月3日に、その法律事務所から大量の機密文書が漏洩したのです。いわゆる「パナマ文書」事件と言われて、大きな問題となっています。何者かが法律事務所への不正アクセスを行って違法に取得した可能性がありますが、そのことよりも、その機密文書に記載された大量の顧客リストに世界中の目が集まっています。世紀の流出スキャンダルと言えそうです。
ところで、タックス・ヘイヴンを「租税の楽園」の意味だと思われている向きがありますが、実はそうではありません。
" - 続きを読む
-
- 16.03.13 | ニュース六法
- 経歴詐称騒動
- "
テレビ朝日系「報道ステーション」などにコメンテーターとして出演していたショーン・マクアードル川上氏について、週刊文春が「ショーンKの嘘」という記事を掲載し騒ぎになっています。「テンプル大学でBA(学位)、ハーバード・ビジネス・スクールでMBAを取得。パリ第1大学パンテオン・ソルボンヌに留学」としていた経歴が虚偽ではないかと報じたからでした。学歴だけではなく出身地や職歴、業績にも疑惑が出てきました。
その後、本人が所属事務所のホームページを通じて自身の英文履歴書に「間違い」があったとして、出演予定の番組も含め、テレビとラジオ番組など計6本について活動を自粛すると発表しました。自粛するテレビ番組は、報道ステーションのほか、フジテレビ系朝の情報番組「とくダネ!」や、4月から出演が予定されていたフジテレビ系の夜の報道情報番組「ユアタイム~あなたの時間~」などだそうです。こういった学歴・職歴詐称を法的視点で見てみました。
" - 続きを読む
-
- 16.02.20 | ニュース六法
- 小保方晴子著「あの日」25万部突破
- "
講談社から出版した小保方晴子著「あの日」が25万部を突破しました。彼女を支えてきた一人として、この本を多くの方々が読んでいただくことを嬉しく思います。あの騒動の陰でどういったことが起こっていたのか、彼女がどのような位置にいて利用され、梯子を外され嵌められていったのか、いくつか作られた調査委員会による最初から結論ありきの不公正さ、真の再現実験とは言えない非科学的・非人権的な仕打ち、全体を通して横たわる不条理さ、そこに襲いかかる偏向報道による社会的偏見の過酷さがいかにひどいものであったか。それによって画期的な業績になる可能性を秘めていた研究の芽をつかんだ優秀な若手研究者を、魔女狩りのように社会全体一斉に石を投げてきた衝撃の事実を知ることができます。
決して告発でもない、言い逃れでもない、真実だけを語ろうとする彼女の魂の叫びです。この本を読まずに偏見のままで批判を重ねる人にはならないでください。ここでは、専門的な実験の話も多々出てくるのが苦手な方のために、おおよそのストーリーを紹介したいと思います。参考にして頂きながら、ぜひ本を買ってお読みください。
" - 続きを読む
-
- 16.01.14 | ニュース六法
- サルは著作権を持てるの?
- "
申年の年初に、サルを巡るユニークなニュースが米国からもたらされました。サルが「自撮り」した写真をめぐる裁判で、米サンフランシスコの連邦地裁が1月6日に、サルが著作権を持てるのかについての判断を下したそうです。
(写真=問題となった「自撮り」写真)問題となった写真は、インドネシアにすむサルが、2011年に自ら撮影したものでした。このサルは、「ナルト」という名前まで付けられていますが、インドネシアの自然保護区で自然写真家のデービッド・ジョン・スレーター氏が放置していたカメラを、ナルトが触っていて自分の顔を撮影したものでした。昨年、動物愛護団体「PETA」がナルトに代わり、このスレーター氏と出版社を相手取り、ナルトの持つ著作権を侵害したとの訴えを起こしていたのでした。なぜ?そのような裁判がなぜ起こったのか、サルに代わって動物愛護団体が裁判を起こせるのか、この写真の著作権は誰が持つのか、このサルか、カメラを放置していった写真家か? 写真の権利は誰にも帰属しない(パブリック・ドメイン)のか?果たして裁判官はどのように判断したのでしょうか。サルも戸惑う話です。
" - 続きを読む
-
- 15.12.23 | ニュース六法
- 女性の再婚禁止期間に関する憲法違反判決
- "
離婚した場合、愛する人と再婚しようと思っても、女性だけは、離婚から6か月の間は婚姻届出を受け付けてもらえませんでした。これは民法で、女性にだけ再婚を6か月間禁止する規定があるからでした。
この民法の規定(733条1項)について、最高裁判所大法廷は、今年(2015年)12月16日に、「再婚禁止期間のうち100日を超える部分は憲法違反」とする初めての判断を示しました。戦後10件目となる違憲判決でした。これによって、明治時代から続くこの民法規定は見直されることになりました。早速にその日のうちに、法務省から、離婚後100日たった女性については婚姻届を受理するよう全国の自治体に通知し、法律の改正を待たずに運用上の見直しがされました。近いうちに民法の改正もなるものと思われます。しかし、なぜ100日の禁止部分は合憲なのでしょうか。
" - 続きを読む
- 大阪プライム法律事務所
- カテゴリ