日高税務会計事務所

問題解決で大切なことは?

17.03.06 | 所長メルマガ

問題解決法などについて書かれた書籍は沢山あります。しかし、日常業務が忙しい中小零細企業の経営者や管理職がゆっくり学ぶ時間はありません。問題が起これば、まず対処療法で解決を図ろうとします。大抵はそれで解決できる場合が多いので、後で同様のことが再発したりします。また、対処法も過去の経験に基づき、やりやすい簡単な方法方法から試しがちです。これでは、真の解決にならず、先送りで不具合をかわしたに過ぎません。今月は問題解決で大切なことにを考えてみましょう。

元松下電送(株)の社長の木野親之氏は、ファクシミリを扱う会社再建のため松下電器(現パナソニック)から社長として派遣されたそうです。当時は規制の多い業界であり、社内も利益が出ないような慣行が横行していて再建は大変難しいと考え、問題点を数枚の紙にぎっしりと書き、松下幸之助氏に報告に行ったそうです。松下氏は、目を通した後、「これで全部か」と確認され、「これが全て解決出来れば必ず再建できるはずだ、この紙は大事に扱うように」と指示されたそうです。その後、紙に書かれた問題点の幾つかが解決したと経過報告に行ったそうです。そこでは喜んでくれるかと思いきや大変怒られたそうです。「社長たる者がちまちました問題にあたるとは何事か!」。長は、最も困難なものから解決にあたるべきで、社員はその様子を注目しているものだとのこと。それから数年、一番大きな問題に全力であたっている内に利益の出る組織に変わり、小さな問題は問題でなくなったそうです。そして最大の問題が解決した後は会社は急成長となったそうです。
この事例から2つ大切なことがあげられます。1つは、問題点をはっきりさせること(問題の顕在化)です。紙数枚に及ぶ問題点を上げることによって、始めて問題の全体像や真の原因等が見えてきます。トヨタの「なぜ?」を5回繰り返すことも同様で、重要な問題に気づくためには数多く、事実・情報等を集める必要があります。少ない結果・事実から思い込みで解決にあたっても上手く行きません。やるべきことが具体化してから、その対処のための最適な手段・方法が決まるからです。2つ目は、大事なこと(影響の大きいところ)から手を付けることです。最初は簡単なところから手がけるのは、スポーツのウォーミングアップのようなものです。実践で全力であたらないと成長しません。いつも少し手を抜いた練習試合のでは、本番で頑張れるハズがありません。問題が10点有って、下位から3点解決しても上位7点はそのまま残ります。しかも、解決はより困難だと想像してしまいます。ところが1番の問題点を解決すると、残りは9でなく5だったりもします。また、後の解決もよりも易しいはずだから、やり遂げられる自信にも繋がります。よく、短所を補正するよりも長所を伸ばすのが良いと言われますが、これも似たようなことです。長所が伸びれば、短所は悪いことではなく単なる個性の1つになります。難しい問題解決法を学ぶよりも、2つ点を抑えておくことをお勧めします。やるべきことが明確になって、その解決が自分で出来なければ、その道の専門家に手伝って貰えば良いのです。逆に問題があやふやなまま、専門家と称する人に丸投げすればお金が掛かるだけで解決にならないことが多いです。

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